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キャリアコンサルタントに1on1のコツを学ぶ

キャリアコンサルタントは国家資格

前口上

物事を学ぶにはいくつかやり方があります。本を読むもよし、動画を見るもよし、講習に行くのもよいでしょう。体を動かすような能力を学ぶ場合、作業研修をする場合もあると思います。

ただ対人スキルを身につけたい場合、このやり方は適していないことも多いです。物に対する場合と違って、人は人それぞれ変わるからです。

営業だとロールプレイングをすることもありますね。会話の問答をパターン分けしてシミュレーションを行うわけです。

マネジメントも同様で座学だけだと習得が厳しい部分があります。キャリアコンサルタントという資格があるのですが、キャリアコンサルの形式が1on1のそれに近いものがあり、学べるところがありそうなので今回見ていきます。

キャリアコンサルタントとは

キャリアに関する職業といえばキャリアアドバイザー、キャリアカウンセラーの方が馴染みがあるかもしれません。それもそのはずでキャリアコンサルタントは2016年4月から国家資格になった比較的新しい資格です。業務独占でなく名称独占なので箔付けの一つですかね。

令和4年版 労働経済の分析の中で、キャリアコンサルティングを受けた人と受けていない人の差について分析されています。概ねキャリアコンサルを受けたことのある人の方が、仕事に満足していることが多いようです。他にもいくつか利点が述べられています。

物価高によって賃上げが岸田内閣の1テーマですが、リスクなしに何かを得るうまい話は世の中そんなにない気もしています。

人はゆるふわ大手の就職を求めがちですが、既存大手企業は人数も多い分賃上げが渋く、人数の少ないぽっとでの成長産業の企業の方が倒産リスクは高いですが賃上げに積極的な印象です。

アメリカだと社会人になってから大学に通うというのもよくありそうですが、日本だと少数派ですね。実際産業をまたぐ労働者の移動は数%です。

コンサルされただけでスキルがつくわけではないですが、キャリアコンサルタントの国家資格化もリスキリング拡充の文脈の中で、転職支援策の一環として成立したというのが自分の理解です。

キャリアコンサルタントの受験資格

キャリアコンサルタントの受験資格を得るための方法は3つあるようです。

  • 厚生労働大臣が認定する講習の課程を修了した方
  • 労働者の職業の選択、職業生活設計又は職業能力開発及び向上のいずれかに関する相談に関し3年以上の経験を有する方
  • 技能検定キャリアコンサルティング職種の学科試験又は実技試験に合格した方

キャリアコンサルタント技能試験はキャリアコンサルタントの上位資格とされるようなので一旦無視すると、パスは講習を受けるか3年の実務経験をするかのどちらかですかね。

講習は認定講習の業者によるのですが、160時間、35万円程度かかるようです

試験内容

試験内容は以下です。

  • 学科4択マークシート: 100分
  • 実技記述式: 50分
  • 実技ロールプレイ/口頭試問: 20分

受験料が学科8,900円+実技29,900円。

学科は統計や心理学のような問題が多いようです。過去問から抜粋すると「令和3年度能力開発基本調査 調査結果の概要」(厚生労働省)で示された、キャリア コンサルタントに相談したい内容に関する次の記述のうち、最も適切なものはどれか。」、「キャリアの各理論に関する次の記述のうち、不適切なものはどれか。」などが問題です。

論述は会話の内容を元に議論する問題です。同じく過去問から抜粋すると「事例Iの CCt10 と事例IIの CCt10 のキャリアコンサルタントの応答が、相応しいか、相応しくない かを考え、「相応しい」あるいは「相応しくない」のいずれかに○をつけ、その理由も解答欄に記述せ よ。(10 点)」など。

ロールプレイはYouTubeに動画がいくつか上がっているので見ていきましょう。

キャリコンのロープレを学べるチャンネル

キャリコンシーオーが一番動画が上がっています。少し相談者が女性のパターンが多いかもしれません。

ただ物量は魅力的ですね。実際の人間はいつもの二人なのですが、キャラクターを動画ごとに演じ分けています。

リベラルコンサルティング協議会は動画は少ししかないのですが、OKパターンとNGパターンの動画が比較されているのがよかったです。

OKパターン

NGパターン

キャリコンから学べる1on1のコツ

  • 傾聴

傾聴! 傾聴! 傾聴! というくらいカウンセリングのコツとしてあげられている動画が多いですね。キャリコンの主張や思い込みで話を誘導しない、決めつけないというのが大事なようです。

単に話を聞いているのは傾聴ではなく、相談者の気持ちの整理や考えをまとめる手助けをするのがポイントのようです。

相槌やキャリコンの意見を言うタイミングの間がロープレから学べることの醍醐味ですね。意見を言ってもいいですか?今までの話をまとめていいですか?と丁寧に切り込むやり方がノウハウ

  • 悩んでいることが本当の問題、解決策でないことがある

PMでも顧客が欲しいと言うものと本当に必要なものが違うということがありますね。2択で悩んでいる場合は副業で両方取れないか、第3の選択はないか、将来のイメージはどんなか聞いてきて、最初に相談してきたことにとらわれすぎない方がよいようです。

所感

技術系特化というわけではないので、参考になる部分と参考にならない部分がありますね。世の中にはいろんな職業があると勉強になりました。

一つの知見として視野が広がったのはよかったですが、キャリコンはコンサルのスキルの枠組みの中で戦うので、もう少しデータを元にそのキャリアを選ぶリスクとリターンをうまく説明できるとよいかもしれない。

SIerだと違うかもしれないですが、Web業界は比較的若い人が多く、レファレンスがないため定年まで技術者をやっている人のイメージが湧いていない人も多いようには感じます。しなくていい苦労だった説はありますが、伝統的日本企業で定年のエンジニアの送迎だったりを経験した分、そこらへんのイメージの解像度は純粋培養Web系エンジニアより自分は高い気もしています。