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There's More Than One Way To Do It

人流を抑えるための「移動税」は政策として機能しうるか

平民による思考実験

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緊急事態宣言が効かない

新型コロナウイルスによる感染が拡大しています。インドからの変異株も残念ながら都内で検出されてしまったとか。

感染が拡大するたびに緊急事態宣言やまん延防止等重点措置などの制限で山ができた病院負荷を谷に持っていっているわけですが、人間とは慣れるもので都内では回が増すたびに抑制効果は減ってきているようです。

善意による抑制が効かなくなった際に人流を制限するインセンティブとして移動税について検討してみます。

緊急事態宣言が出ている地域はどういう地域か

2021のGWで発令された緊急事態宣言は東京、大阪、兵庫、京都の4都府県です。

よく都市部ほど電車社会、地方ほど車社会と言いますが、鉄道、電車が通勤・通学手段のエリアと緊急事態宣言が発令された都道府県は結構一致しています。

鉄道網が発達している都市部での人流を抑えるためにはどうすればいいでしょうか?

方策1: 電車の本数を減らす

実際に行われた施策です。

人間は十分に予測できる生物だと仮定すると、電車の本数を減らすことをあらかじめ予告しておくことで、混雑を緩和するためにリモートワークや時差出勤を行います。

国土交通省と東京都がJR東日本ほかに要請した結果減便を行いました。残念ながら人間は十分に賢くないようで国民の祝日はともかく平日では混雑が単に上がっただけのようです。結果、通常のダイヤに戻す決定がなされました

方策2: 関所を作る

いわゆる翔んで埼玉パターンです。

検問によって移動できる人を制限します。国内パスポート構想として諮問委員会で案として上がったようです。

部分的な道路ならともかく、エリア全ての人流をコントロールするのは検問も作れないですし、人員も足りない気はしますね。パスポートを申請する人が役所に殺到するという声もあるようです。

方策3: 公共交通機関の運賃を値上げする

移動税パターンです。

電車やバスの運賃を値上げすることで出社の方がテレワークより効率がいい、遊ぶなら外出した方が楽しいという損益分岐点をずらす施策です。

例えば消費税だと取引の掛け算がNxMで運用が大変ですが、電車の運賃はBtoCで1xMのため運用が比較的容易です。値上げは元からある料金改訂のシステムを流用できるためシステム投資も抑制できます。

懸念は日雇いの方で所得が減ってしまったり、介護などで電車を使われていたりすると負担が大きくなってしまう点などが挙げられます。医療関係の方も影響を受けます。

以下移動税パターンについて深掘りしています。

排出権取引と移動税の類似性

ベルリンの壁などに代表されるように政府が個人の移動の自由を奪うというのは人権に抵触する部分もあり、どの国も慎重に進めています。日本は他国より強制力が低いロックダウンでも感染を抑えられていたのは民度の高さによる部分もあると思います。

それでも善意のみに頼ったシステムが持続性のあるものかというとそうではない気もしています。

同様に善意のみに頼って進まなかった問題として地球温暖化があり、排出権取引という経済的なインセンティブを与えることで一定の成功をおさめています。仮に人と人とが出会うことを仕組みで抑える方法があるとすればそれは経済的なインセンティブによるものかもしれない。

交通費はどこまで個人が負担しなくてすむか

プライベートの統計はなかなかなさそうなので仕事での統計を見てみます。

統計上東京都の平均通勤時間は43.8分のようです。

三鷹から渋谷が30分くらいなのでドアtoドアで44分なのはその辺ですかね。1ヶ月定期が9220円ですが週の半分がテレワークで都度払っているとすれば6160円/月。

会社の通勤費の上限が1万円だとすると5割ましくらいなら個人の負担増なしに税負担できるかもしれません。

消費税でもそうですが額そのものより上がったという事実が消費者を萎縮させ短期的な抑制につながる説はあります。

飲食店への助成はいつまで持つか

倒産などによって職を失った人や、時短要請の飲食店に経済的な補助は必要です。一方、国庫が無限かというとそんなことはなく、むしろ日本は慢性的な赤字です。

日本の税収は64兆円/年で歳入は100兆円/年。毎年一人当たり28万円借金をしている。コロナ財政支出で40兆円。追加で一人当たり30万円借金。

平均年収420万円の12%程度の納税でこれを回復させるのは厳しく、人流抑制の施策が同時に財源確保になればその助けになるかもしれない。

最後に

全ての人が幸せになる政策というのは存在しないのが政治の難しいところですね

以上チラシの裏の妄想でした