algonote

There's More Than One Way To Do It

それってパクリじゃないですか?で学ぶ特許

ドラマで学ぶ特許

それってパクリじゃないですか?

「それってパクリじゃないですか?」は企業の知財部を舞台にしたドラマです。小説が原作ではあるのですが、既刊が2巻だけのため追い越した部分があり、小説で書かれる予定のものを一部取り込んだようです。

2023年4月期放送。Huluで全話見れます。

インタビューによると作者の奥乃桜子先生は以前大学で研究者をされていたようです。作者が理系バックグラウンドという意味ではすべてがFになる、数学ガール系でしょうか。

話数一覧

話のタイトルはこんな感じ。知財部なので特許だけでなく商標の話もありますね。

  1. 盗まれた発明
  2. パクリとパロディ
  3. 侵害予防調査
  4. 商標出願の勝者
  5. 調整の樹海
  6. ヤバイで特許出願
  7. 特許の怪物、現る
  8. 本物の怪物
  9. 完璧上司の涙
  10. 守るべきもの

いろんな概念が出てくるのですが、いくつか部分的に取り上げてみます。

弁理士

士業の中では、弁護士、司法書士、税理士と比べると弁理士は知名度で言うとマイナー扱いされることもある印象です。劇中でも便利屋扱いされていました。

弁理士は知的財産の専門家で特許申請の代行業務などいくつかが独占業務として認められています。

弁理士試験の他に特定侵害訴訟代理業務試験というより実務に踏み込んだ試験もあります。

冒認出願

冒認出願は発明の権利を有していないものが特許を出願してしまうことを言います。

割合最近までアメリカは先発明主義でしたが、先願主義に移行しています。秘密情報をベースに先願されてしまった時に冒認出願を訴えるわけですね。

商標の出願区分

商標は出願区分が細かく区切られており、区分ごとに権利が定められています。

最近商標でもめた事例だと"zoom"でしょうか。AItuberの商標登録でも一悶着ありました。

クロスライセンス契約

A社が持っている特許をB社が侵害していて、B社が持っている特許をA社が侵害している際に打ち消しあうのがクロスライセンス契約

日本で特許訴訟があまり起きないのもメーカー同士で裏で特許権のマージンの調整をしているからとも言われていますね。

分割出願

1つの特許の一部を切り出して提出したのが分割出願

ただ実務上は一部というよりコピーに近い扱いで審査を進める中でスコープを変えたり、広く使える特許と手堅い特許の二段構えをするための分割出願も多いようです。

ユニクロ(ファーストリテイリング)とアスタリスクのセルフレジの訴訟でも弁護士の方が分割出願が訴訟費用の高騰を招いたとも語られているので中小企業の特許戦略としては乱用は微妙かもしれません。ユニクロは裁判で負けていますが、最終的にライセンス料ゼロで和解となっています。。。

所感

IT系でもウマ娘がパワプロの育成システムに似ているとして訴訟されていますね。

それってパクリじゃないですか?はドラマ自体もむすっとしている男性と感情豊かな女性の掛け合いがコミカルで面白かったです。