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IT企業でけんかを防ぐには

よくある話

前口上: IT企業ではけんかが起こりがち

IT企業で働いていると時折口論が起きることがあります。スタートアップで共同創業者間でもめて抜けた話はよく聞きますし、上場企業でも急拡大の結果、昔からいた人と新しく入った人とで溝ができてしまったなんて話は割とよくあるように思います。

こういった話はお仕事全般に共通するのでIT企業だけではないのですが、比較的企業サイズが小さく、労働(知識)集約的で、安定期でないケースが多いので起こりがちかな印象です。

どうすればIT企業でけんかを防げるでしょうか?いくつか論点を取り上げてみたいと思います。

組織が続く方が尊いので他の優先度は下げてもいい

大前提、自分は組織が続く方が尊いので他の優先度は下げてもいいというスタンスにあります。

イーロンマスクはじめPayPalマフィア(PayPalの元関係者)は成功事例が多いですが、初期のPayPalでも技術的な選択で口論になって、技術的に最高の選択より仲がいいことの方が重要として、必ずしもイケていない技術を採用したそうです。

それほどプロダクトの成否以前にとりわけスタートアップでは組織由来の崩壊がしやすく、こういうと技術者目線だと怒られるかもしれないですが、セキュリティーは別ですが、技術関係で揉めたら少しイケていない程度ならメンバー間の不和が生じないことを優先した方がいいと思っています。

けんかが生じる原因は何か

けんかが生じる原因はたくさんあるのですが、思いつくところだと

  • 専門性よりフルスタックさを求められる
  • ピボットによる急な方針転換
  • 平均的な人間の能力を高く仮定し過ぎている
  • 手を動かす人の割合が高すぎる
  • 情報共有の透明性の低さ
  • 待遇への不満

あたりでしょうか。

規模の小さい会社ほど事業的不安定さ由来のストレスが多く、規模の大きい会社ほど隣の部署は役所というか構造が硬直的であることへの不満が多い印象。

規模が小さいと事業的不安定さ由来のストレスが多い

  • 専門性よりフルスタックさを求められる
  • ピボットによる急な方針転換

は新規事業よりのケースで起きるけんかのケース。

新規事業だと投資しても儲かるのかわかっていないのでまずはミニマムでとしてスタートアップでも大企業でも最低限の人数しか割かれないケースが多いと思います。

小規模組織に移ると今までの仕事より職務範囲が増え、間のボールを拾わなければいけないことがストレスになる人もいます

また、想定した仮説が外れてピボットした結果、売るもの作るものが変わった結果、不満につながることもあります。

優秀な人材はベンチャーには来ない

  • 平均的な人間の能力を高く仮定し過ぎている
  • 手を動かす人の割合が高すぎる

あたりはマネジメントの問題ですね。

スタートアップの創業者は高学歴のケースが多いそうです。必ずしもスタートアップに勤めた経験があるわけではなく、大企業勤務から急にスタートアップを始めたケースも結構あります。

ホリエモン、堀江貴文氏が以前言われていたんですが、優秀な人材はベンチャーには来ない です。そういう前提で動いた方がいい。

最近はスタートアップも待遇が上がってきたのでその仮定は少しずつ変わってきてはいるのですが、それでも日本は就職における新卒のウェイトがまだ高いです。創業当初から実績のある優秀なCXOがあなたの会社にジョインしてくれる可能性は低いでしょう。

それこそ中高一貫で大学もいい学校でした、一流大企業にずっと勤めていましたケースにおいて、 平均的な人間の能力を高く仮定し過ぎている 傾向はあると思って、あなたが今まで関わってきた人間は少しフィルターされているというか、地頭だけでいえば世の中平均より高かったことを認識できていないケースはあるように思います。

そういったケースにおいて大人な人間はそうそう喧嘩しないと誤った仮定をしている場合もあると思って、想定より起こりがちかなと。

ブリリアントジャーク判定しだしたら既にマネジメントは失敗している

手を動かす人の割合が高すぎるもよくある話で、シニアな人材、マネジメント層が採用できていなかったり、そもそもプロダクト開発の焦りからそこへの採用意欲が低かったり色々です。

ブリリアントジャークという優秀だけれどコミュニケーションに問題がある人を指す言葉があるんですが、喧嘩になった時にブリリアントジャーク判定をしてしまうと最悪ですね。ブリリアントジャーク判定しだしたら既にマネジメントは失敗している と思った方がいいかなと。

自分もそりが合わない上司に当たったこともありますし、ブリリアントジャーク判定の対象となった人も普通に話すといい奴であるケースも結構あって、直属の上司の一存で一方的に誰かを害悪と判定できてしまう組織の方がよっぽど害悪かなと。

一説によると意見を通したい場合、意見を通すことそのものより意思決定プロセスを合意しておくことの方が成功率が高いそうです。ブリリアントジャーク判定も似た部分があって、けんかが起きるような組織はKPTや1on1を軽視していることが圧倒的に多いです。

普段の不満の吐き口がなく、組織改善の改善サイクルがまわっていないことが多く、結果突発的に不満を言う人が出てきてしまう印象。

大企業ほど構造が硬直的であることへの不満が多い

  • 情報共有の透明性の低さ
  • 待遇への不満

はどちらかというと大企業ほど多い不満のケース。

全体の方針や決定の理由が聞くまで情報が出なかったり、説明があまりないまま仕事を進めなければいけないことは大企業の方が多い。

スクラムの話にも書きましたが、経験上俺/私を通せおじさん/おばさんみたいな存在が蔓延っているケースが社歴の長い会社ほど存在することが多くて、組織のがんになっていることはあります。

創業期ではおそらくフルスタックさでとても役にたってたであろうCOOぽい人がスケールして専門性が分化してくると、間に入って無理に自分のポジションを作ろうとするというか、コミュニケーションを阻害するケースはたまに見ます。

また、ここら辺は中間管理職はつらいよの世界なんですが、待遇への不満から何を言ってもやる気がないみたいな人に遭遇することもあって、仕事のやりがいは決してそれだけではないですが、給料は全てを潤すこともあるかなと。

まとめ

まとめです。以上をまとめると、けんかを防ぐ対策はこの辺でしょうか。

  • 新規事業ではフルスタック性への耐性の高い人を採用する
  • 人の優秀性に頼りすぎず、仕組みで仲の良さを担保する
  • KPTや1on1を軽視せず、日々のガス抜きを行う
  • マネージャーの評価はメンバーからのフィードバックも考慮する
  • 評価制度、賃金の市場追従

仕組みで言うとランチ会や部活補助なんかもいいかもしれないですね。

所感

けんかとは違いますが病んじゃう人とかもたまに見ますね。

仕事以外の趣味・コミュニティーへの接点を持つのと運動するのが大事というのが最近の自分の見解。