子育てサポート企業の見分け方
公的な証明で働きやすい企業を見抜くには
20・30代の7割がマネージャーを希望していないそうです。転職でも年収よりワークライフバランスが重要というケースも増えました。たくさん残業しなければいけないなら、高給でなくてもいいという人も増えているのが時代の流れかなと。
経営者が働きやすい会社です、子育て世代に寄り添っていますと口で言うだけなら簡単ですが、転職して入ったら思ったのと違ったというケースもあると思います。完璧ではないものの、くるみんマークは公的な認証であり、その企業のワークライフバランスへの投資の本気度を測る指標になり得るので今回見ていきます。
くるみんマークとは
くるみんマークは子育てサポート企業として厚生労働大臣の認定を受けた場合に使えるマークです。行動計画を策定する必要があり、いくつかの要件も満たす必要があります。
2022年4月に要件が厳しくなった他、トライくるみんが追加され、要件の厳しさに応じて基本的にプラチナくるみん、くるみん、トライくるみんの3マークの運用になりました。
ざっくりとした 基準の違いは以下です。
- プラチナくるみん
- 男性育休取得率: 30%以上(<= 13%以上)
- 男性育休・育児目的休暇取得率: 50%以上(<= 30%以上)
- くるみん
- 男性育休取得率: 10%以上(<= 7%以上)
- 男性育休・育児目的休暇取得率: 20%以上(<= 15%以上)
- トライくるみん
- 男性育休取得率: 7%以上
- 男性育休・育児目的休暇取得率: 15%以上)
また、不妊治療のための休暇制度等の追加要件を満たせば、プラチナくるみん/くるみん/トライくるみんはプラチナくるみんプラス/くるみんプラス/トライくるみんプラスマークになれます。
認定企業が中小企業の場合、上限50万円のくるみん助成金をもらえる他、公共調達においてくるみん認定企業は加点を得られます。
くるみんマークの認定基準
くるみんマークの認定基準の10要件は以下です。
- 雇用環境の整備について、行動計画策定指針に照らし適切な行動計画を策定したこと。
- 行動計画の計画期間が、2年以上5年以下であること。
- 策定した行動計画を実施し、計画に定めた目標を達成したこと。
- 策定・変更した行動計画について、公表および労働者への周知を適切に行っていること。
- 次の(1)または(2)のいずれかを満たしていること。
1) 計画期間における、男性労働者の育児休業等取得率が10%以上であり、当該割合を厚生労働省のウェブサイト「両立支援のひろば」で公表していること。
2) 計画期間における、男性労働者の育児休業等取得率および企業独自の育児を目的とした休暇制度利用率が、合わせて20%以上であり、当該割合を厚生労働省のウェブサイト「両立支援のひろば」で公表していること、かつ、育児休業等を取得した者が1人以上いること。 - 計画期間における、女性労働者の育児休業等取得率が、75%以上であり、当該割合を 厚生労働省のウェブサイト「両立支援のひろば」で公表していること。
- 3歳から小学校就学前の子どもを育てる労働者について、「育児休業に関する制度、所定外労働の制限に関する制度、所定労働時間の短縮措置または始業時刻変更等の措置に準ずる制度」を講じていること。
- 計画期間の終了日の属する事業年度において次の(1)と(2)のいずれも満たしていること。
なお、認定申請時にすでに退職している労働者は(1)・(2)のいずれも、分母にも分子に
も含みません。
1) フルタイムの労働者等の法定時間外・法定休日労働時間の平均が各月45時間未満で あること。
2) 月平均の法定時間外労働60時間以上の労働者がいないこと。 - 次の①~③のいずれかの措置について、成果に関する具体的な目標を定めて実施している
こと。
1) 所定外労働の削減のための措置
2) 年次有給休暇の取得の促進のための措置
3) 短時間正社員制度、在宅勤務、テレワークその他働き方の見直しに資する多様な労働条件 の整備のための措置 - 法および法に基づく命令その他関係法令に違反する重大な事実がないこと。
中小企業だと軽減もあるのですが、学生起業で若手ばかりの人員構成だと5の実績面が満たせない場合はありそうなのと、8の残業規定は引っ掛かりそうなポイントでしょうか。育休をカバーするために一部の名ばかり管理職がたくさん残業してカバーするとダメそうですね。
プラチナくるみんだと少し要件が厳しくなるのですが、8の残業の規定は変わらないようで、個人的にはもう少し厳しめでもいい気はします。誰かがカバーして残業している会社は真の子育てサポート企業ではないかなと。
くるみんマークを取得しているIT企業一覧
くるみんマークを取得している企業は公表されているのでIT企業を抽出してみます。2023年6月末時点の表をベースに202x年で認定のある企業。
IT企業の定義が難しいのもあるのですが、似たような名前が多いのもつらいですね。公共調達で有利になるからか取得企業にSIerが多いように感じます。C向けのWeb系の会社は少ないですね。
プラチナくるみん認定
- ソフトバンク株式会社
- キヤノンITソリューションズ株式会社
- 日鉄ソリューションズ株式会社
- 株式会社日立ソリューションズ・クリエイト
くるみん認定
- 株式会社ジャパンテクニカルソフトウェア
- NECソリューションイノベータ株式会社
- 株式会社エヌ・ティ・ティ・データ・フィナンシャル・ソリューションズ
- かんぽシステムソリューションズ株式会社
- キーウェアソリューションズ株式会社
- 住友電工システムソリューション株式会社
- 中外製薬ビジネスソリューション株式会社
- パナソニックシステムソリューションズジャパン株式会社
- 三井倉庫サプライチェーンソリューション株式会社
- 横河ソリューションサービス株式会社
- 株式会社早稲田大学アカデミックソリューション
- GMOペイメントゲートウェイ株式会社
- KDDI株式会社
- 株式会社NTTデータSMS
- 株式会社NTTデータNJK
- 株式会社NTTデータアイ
- 株式会社オールアバウト
- 株式会社ぐるなび
- サイバネットシステム株式会社
- さくら情報システム株式会社
- 株式会社ソフマップ
- 日本ヒューレット・パッカード合同会社
- ビットバンク株式会社
- 楽天銀行株式会社
トライくるみん認定
該当なし
くるみんマークを見るコツ
プラチナかどうかも確かに大事なのですが、公表されている企業の中にはだいぶ昔に取ってからそのままの企業も多そうなので、そういう観点でも見た方がいいですね。
助成金がもらえたから取得したという企業だったり、過去取ったものの今は要件を突破できなくなってしまったという企業もありそうなので、継続的にくるみんマークを取得している企業は信頼できるなと。
IT企業かというと微妙なラインですが、日本ヒューレット・パッカードは2007~2021で計5回取得しているようです。
所感
両立支援のひろばにも統計データおいてあるようなので分析してみたいですね。
子育て世代が働きやすい会社というのは関係ない人でも働きやすい会社というのはよく言われることで、くるみんマーク取得企業が増えれば多少はワークライフバランスを考えた会社が増えるのではと思いました。