企業技術ブログはリソースヘビーか
採用広報の一つの戦略としての技術ブログ
求人倍率が10倍を超えている(ソフトウェア)エンジニアを企業が採用するためには採用広報が重要です。
オープンソースプロジェクトに課金する、カンファレンスのスポンサーになる、勉強会で登壇するとならんでよく行われるのが企業技術ブログの運営です。
一方で熱量の高いメンバーがはじめたものの周りは乗り気でない、最初は勢いよく始めたものの止まってしまった等々というのはよく聞く話です。頭数だけが全てではないですが、どのくらいのエンジニアがいれば続くものでしょうか?
参加は任意で前提をそろえる
推定する前に前提をそろえます。
全員参加強制にする企業もあるのですが、参加は任意とします。
デザイナーやBiz職含めて投稿する場合もありますが、エンジニアのみの参加とします。
リファレンス事例を調べる
- ZOZO
アドベントカレンダーにおいて
- 2021年: 125記事/75人 = 1.66記事/人
- 2022年: 175記事/112人 = 1.56記事/人
の投稿のようです。熱量の高い人がちょっと多めに書いているとするとリアルかもしれないですね。
- Merpay
技術ブログの情報によると発信に関わっている人は、メルペイエンジニア組織全体の約20~30%だそうです。
メルカリ・メルペイはかなり発信に力を入れているイケイケのイメージですが全員が関わっているわけではないんですね。
月一投稿に何人エンジニアが必要か
以上の情報を元に下記前提で計算します。
- 毎年3割のエンジニアが記事を書くとする
- 記事を書くエンジニアは毎年1.6記事書くとする
祝日は予約投稿する、アドベントカレンダーには参加しないとして
- 毎週投稿
365日/7 = 52記事
52 / 1.6 * 10/3 = 108人
- 隔週投稿
365日/14 = 26記事
26 / 1.6 * 10/3 = 54人
- 月1投稿
12 / 1.6 * 10/3 = 25人
愚直に計算するとエンジニア25人いて初めて月一の技術ブログが成立する と言った感じでしょうか。
アーリーフェーズほどCTOがひたすら勉強会で登壇するなど別の施策のほうがよく、レイターになるほど技術ブログがワークするかもしれないですね。
技術ブログは離職率低下に効く
FOMO(fear of missing out), 取り残されることへの不安という言葉があります。IT系、特にWeb系は技術の進化も速くキャッチアップが大変です。
発信には
- 外に対する発信
- 外に言うけれど中の人に外に言っていると宣伝するための発信
があると思っているのですが、技術ブログの運営には中の人に我々は技術を重要視している、高い技術水準をキープしていると言う効果があります。発信というと採用、採用と攻め側の話ばかりされがちな印象ですが、守る側にも効きます。
実際、技術ブログを運営できる企業はキャッチアップの感度も高く社内勉強会だったり、FOMOを減らす、メンバーのスキルレベルをふりではなくキープできていることが多いと思います。
採用に力を入れているという企業でも離職率の低下についてはおざなりということはありますね。そういう意味で 技術ブログを継続できているというのは離職率低下に効く のでないか。
所感
評価基準にブログの執筆もいれている企業もあるのですがインセンティブ設計としてはどうですかね?たいして技術的に高度なことをやっていないのにノルマなので実名で記事を書かないとか形骸化すると地獄ですね。
アドベントカレンダーシーズン(12月)に世の中のお祭りムードを利用して社内アドベントカレンダーをやって、記事のストックをためて、月2くらいでちょっとずつ世界に出していくのも一つのアイディアですが、技術は陳腐化していくのでうまくいくかは未知数。