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2D<=>3D互換の死なないメタバース開発について考える

死なないメタバースの作り方

前口上

メタ社がメタバースに力を入れると発表した際は猫も杓子もメタバースだったのですが、Googleトレンドの推移を見ていると少し過熱感が落ち着いてきたようにも感じます。

メタバースがいつ実現するかは各社意見がバラバラなのですが、メタ社の言い分だとメタバース実現に10~15年かかります。ESGファンドなんかは長いこともありますが、VCの投資期間は通常10年。スタートアップがVRメタバースをやるには実現が困難な可能性もあるわけです。

一方でgatherのような2Dタイル表示の交流プラットフォームはオンラインカンファレンスの懇親会でも使われている印象で、メタバース=3Dに拘らず、端末のサポートレベルが複数あるような2D<=>3D互換メタバースがあるとスタートアップでも死なずに事業を継続できるのではと思い検討してみます。

メタバースの類型

自分の観測範囲でメタバースのサポートレベルは

  • gather風2D on PCブラウザー
  • 顔だけカスタムの簡易アバターVR
  • 足なし幽霊VR
  • 全身VR
  • ARグラス

といつくかパターンがあるように思います。 処理負荷は後ろにいくほど重いです。

メタバースというとどれを思い浮かべますかね?全身VRの印象が強い人が多いようには思います。レンダリング負荷の分類とは別にオープンワールドかクローズドかでも分類できます。

以下サポートレベルに応じたメタバース構築の仕様についてみていきます。

gather風2D on PCブラウザー

gatherやoViceといったPCブラウザー内の2Dタイルマップ上でドット絵のアバターを動かすパターンです。コミュニティー機能のついた昔のドラクエ、ボイスチャットができるアメーバピグといった感じでしょうか。

gatherは現状カスタムアバターをアップロードできないのですが、歩行モーションや感情差分、タイルマップの仕様を作るとしたらRPGツクールを踏襲するのがいいと思います。

RPGツクール(RPG Maker)系同梱の素材はライセンス上問題あるのですが、インディーゲーム開発用にキャラクターやタイルマップは多数公開されていて、そういった前後左右のモーションに加えて喜怒哀驚などのパターンをサポートすれば仕様として成立しやすいかと。

顔だけカスタムの簡易アバターVR

顔だけカスタムだけのパターンです。昔のclusterの表示が近いですが、むしろ不動産内見用や配膳ロボットの顔だけ可変のパターンが自分のイメージに近いです。

ビデオ通話で普通に自分の顔を出してもいいですし、SNSのアイコンを表示するでもいいし、gather風2Dビューの感情をキーボードのキーで入れ替えるでもいいと思います。

ここはPCブラウザViewとVR Viewとのブリッジ想定でVR端末を持っていなくてもVRの人とコミュニケーションできることを狙っています。同じ部屋にいると部屋の音が外に漏れない処理は2Dでも3Dでもそんなに変わらないと思うんですよね。

片方の人は単にブラウザで操作しているだけだけど、もう片方の人の世界ではVR上に存在しているように見えると接続性が良いかと。一定のGPUを積んでいるPCブラウザの人は3D Viewも可能にして、車輪付きロボットを遠隔操縦している感覚でVRの世界をお手軽に楽しめるでもいいと思います。

マップはMinecraftのようなブロックで上方から見た時のマップをそのまま2D Viewに表示すれば破綻しないです。高さは可変でMinecraftよりもう少し家具の可変性を持たせてもいいかもしれない

足なし幽霊VR

主に座ってVRをやる人を想定しています。

C向けだけでなくB向けで使うことを考えるとずっと立ちっぱというのはつらいと思うんですよね。リアルで座っている人はVRでも座っている方が自然というか、必ずしも歩くモーションを割り当てる必要はないのではないかというのは常々思っているところです。

現実でも電動車椅子を使っている人はいるので、電動車椅子の操作体系をそのままVRに持ち込むというのも一つの考え方だと思います。電動キックボードかスクーターでもいいかもしれないですね。

全身VR

ようやく全身VRです。いわゆるフルトラになると思います。VRChat。

ここは手にはめるグローブだったり、移動用トレッドミルだったり、突き詰めればきりがないのですが、極力現実を反映したい人向けでしょうか。ライブのようなものを想定しているとアーティストだけフルVRでもいいかもしれない。

ここが一番アセットヘビーというかワールドとアバター両方用意する必要があるのでプラットフォームごとに世界が分断されている部分ではあります。VRMはひとつの解ですがアイテム課金で収益を得ているプラットフォームは乗り気でなかったり。

WWWの進化の歴史を見返していると他のプロトコルもあったみたいなんですよね。

現在通常のホームページ閲覧のデフォルトは無料なわけで、ワールド自体が有料になるというよりアバターからの操作プロトコルを標準化の方がWebの進化を踏襲している気はします。HTMLとブラウザ相当の概念、コライダーの共有とアバターの表示を分離できるといいのですが。

ARグラス

ARグラスです。メタバースの最終系は現実と仮想データが混じったものです。

ARCore Geospatial APIなんかの表示を見るとだいぶ実現性が上がっている気がしますね。一方で眼鏡やサングラスのような薄さを期待しているとまだそこは遠いような気がしています。

Quest2は軽くなりましたが起床時常に装着を考えるとまだ重いですね。バッテリー小型化は進んでいますが、眼鏡のフレームに入るものだとすぐに切れてしまう。SnapのSpectacles 3後継でもバッテリーの持ちは30分。首掛けのモバイルバッテリーが欲しいところ。

またARグラス系のデモはフェイクが多いというか、光学的に今見えているものより濃くするのは難しいと言われています。シャオミのスマートグラスXiaomi Smart Glassesもまだモノクロです。

偏光板か何かをうまくやるとできるのかもしれないですが、メタ社のProject Cambriaを見ても多くの人が考えるARを実現するにはカメラで撮った画像を再構成して描画しないといけないのかと。ハイパフォーマンスなGPUが必要で眼鏡のような薄さにはまだならない。

死なないメタバース開発

機械学習ブームの際もブームの際にはPoCが大量に走ったものの、熱狂が冷めた瞬間に受託頼りの企業は少し傾いた印象があります。VRも撤退判断した企業をちらほら観測してそれは残念です。

普及帯だとB向けだとgather、C向けだとMeta Quest 2が山な印象でそこにはギャップがあるように思います。社用PCを貸与する企業は普通で、社用スマホを渡す企業はたまにある気はするのですが、社用ヘッドセットを貸与する企業はまだまだ少数ではないのかと。

VRの体験はリッチで将来の方向性であることは間違い無いのですが、0→1に近いほどB向けの方が事業継続性が高い印象はあります。

メタバースを開発するとき、最初からC向けVRをせめるのもいいですが、より簡易な2D表示でキャッシュを稼ぎつつ、余剰資金でVRも並行で開発するようなビジネスモデルもあってもいいのではないかと思いました。