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日本はどうすれば少子化による消滅を回避できるのか

ぼくのかんがえたさいきょうのの日本再生プラン

前口上

日本において子供が産まれる数は年々減っており、移民の受け入れも消極的なため、人口が減ってきています。

国力は概ね人口に比例するので、ほっといてもGDPが成長する発展途上国と違い、凡庸な動きをしている限り衰退していきます。また生産性も悪いため今のペースだと一人当たりGDPで韓国に数年で負けるそうです。

一方で少子化、高齢化自体はどの先進国でも抱える課題であり、移民を除けば人口が減少している国はそう珍しいものではありません。その中でも、フランスやスウェーデンは上手くやれている(いた)国として上げられることが多く、他国の政策から学べることはないか独自論点交えて見ていきたいと思います。

少子化は本当に回避しないといけないのか

他国の比較をする前に少子化は本当に回避しないといけないのかという論点も必要なので軽く論じておきます。

人が減って何が困るかといえば例えば国防上の理由があります。科学の発展した現代においては頭数以上に兵器の火力のウェイトが上がってはいますが、周辺国から仮に攻められた時に戦える人がいないと負けるでしょう。

一方で、年金の問題などは極論破綻が見えているなら過去の支払いに応じて払いすぎているなら支給額を減額、一律に徴収額を上げるというよりは例えば人口の多い世代ほど増額して若者世代が極端に不利にならないようにする、自分の世代の老後資金はその世代内で完結するようにするのが本来サステナブルではあります。

そういった事情を国民に論理立てて説明して、妥協点を模索していくのが政治家の仕事かと。急なインフレで貨幣自体の価値を下げるやり方は個人的には盛大な詐欺のように感じます。

フランスとスウェーデンの財源

話がずれました。まずは財源を見ていきましょう。この手の議論をするとたいていひたすら補助を増やすことを要求する人もいるのですがない袖はふれないです。

消費税(VAT)でいうと

  • 日本: 基本10%で軽減税率が8%。
  • フランス: 基本20%で住居の改築が10%、食品が5.5%
  • スウェーデン: 基本25%で食料品が12%. 本や映画、輸送が6%

になっています。

こうして見ると日本の消費税10%はまだ低いですね。他国並みを狙うなら次の増税は基本税率13%あたりでしょうか。海外からの観光客にジャブジャブお金を使ってもらえると日本としてはプラスではあります。

少子化は未婚化の方が問題

少子化の原因をみていくと夫婦が子供を産んだ数より結婚数の方が問題です。

合計特殊出生率(一人の女性がその年齢別出生率で一生の間に生むとしたときの子どもの子ども数)は1970年=>2019年で2.14から1.36まで減っています。

一方で、完結出生児数(夫婦の最終的な平均出生子ども数)は1972年=>2015年で2.20=>1.94。

第15回出生動向基本調査(結婚と出産に関する全国調査)|国立社会保障・人口問題研究所

確かに夫婦の子供の数も-12%で減っているのですが、適齢期の結婚数が-28%でそちらの方が問題ですね。

フランスは結婚が二つある

https://www5.cao.go.jp/keizai-shimon/kaigi/special/future/sentaku/s3_1_6.html

フランスは先進国の中では合計特殊出生率が2近くあり突出してるのですが、フランスはこの問題をどう回避したのでしょうか。

象徴的なのはフランスでは結婚の概念が二つあり、普通の結婚とパートナーシップ制度PACSの2種類あるということです。

元々はLGBT向けの同性婚などのための制度なのですが、現在では広く異性婚でも使われており、日本でいう同棲と結婚の間のような緩めの結婚とでもいうべき概念のようです。

PACSは結婚より簡単で、できないこともあるのですが、子供手当などはもらえ財産なども共有されるようです。

結婚による夫婦別姓だったり、同性婚は日本では認められていないですね。応援しているものの関連法規が多くて満点を目指すと実現が遠い部分もあるようには思います。少子化の問題だけではなくパートナーシップ制度というカジュアルな結婚を合法化することで受け皿が増えるようには感じます。

フランスは離婚率も高いので全て真似ていいかは微妙なところなんですが、結婚となると顔合わをしたり、バツがつくのを気にしたりしますね。極論を言えばフランス流少子化問題の解決法は結婚をしなくても子供を産めるようにする、子持ちで再婚するのを社会的にある程度受容している面もあるようです。

告白文化は日本だけとも言われることもあり、0か1かだけだと結婚数が増えないなら、ステージング環境というか結婚前の同棲はもっと広く認められても良いのかもしれない。性感染症も増えそうなので取っ替え引っ替えするのを政策として推奨するのは微妙ですが、煮え切らないカップルを後押しするくらいはいいのかなと。

多くの子供を産むには多子家庭を優遇する

また、フランスの所得税はN分N乗方式という子供を産んだ数が多いほど有利な税制になっています。

昔の農家のイメージで貧乏な家庭ほど子供を多く産む仮定をしがちなのですが、現代日本の統計上収入の多い家庭ほど子供を産めているみたいなんですよね。

スウェーデンだと主婦は無職扱いというか変な人扱いされる風潮があるようで、日本でも共働きの家庭の方が増えたこともあり、専業主婦控除は徐々に子供手当に変えていくのが自然なようには思います。

飛行機でもホテルでもダイナミックプライシングってありますよね。消費税25%に一気に上げるのを社会が受容できる気はしないので、子供手当の財源をどこで出すかと言えばそこなのかなと。

最初は緩めで学校に通って就労していない学生を養っているうちは専業主婦控除キープ、子供が就労したら専業主婦控除は減額で子供を3人以上育てている家庭にまわすのがサステナブルな仕組みのようには思います。

男性の育児参加にはみなし残業廃止

フランスは就労時間も日本と違って週35時間が規定労働時間です。残業代も8時間まで+25%、それ以上は50%上乗せとなっています。

日本は40時間労働が多いですね。割増賃金も60時間まで25%、それ以上が50%(中小企業は2023/4~)。

Openworkの統計だと働き方改革の影響で日本でも2012年=>2021年で46時間/月残業から24時間/月に減っているようです。

https://www5.cao.go.jp/keizai2/keizai-syakai/k-s-kouzou/shiryou/2th/shiryo4.pdf

フランスでも残業はしているんですがベースの時間が少ないので1日の労働時間は8時間いかないです。

男性の育児参加もよく言われるんですが、東京都内だと往復2時間通勤して1日1時間残業していると参加率は悪くなりますよね。時短勤務は6時間が多いですが、フランスをベンチマークにするなら夫婦ともに7時間/日で帰れる社会が最終ゴールのようにも思います。リクルートは7.5時間が標準ですね。

残業時間の上乗せ引き下げも効くと言えば効くんですがIT業界見渡す限りでも見込み残業制の会社が多いように思います。やっぱり固定だと会社として早く帰すモチベがわかないと思うんですよね。無料のスプレッドシートはいくつかありますし、勤怠SaaSもたくさんあるのでまずは見込み残業制廃止で徐々に7.5時間を基準労働時間に持っていくのが最初の提案としてはよいようには思いました。

保育園より母親アシスタント

最後に、以前「保育園落ちた」で話題になった保育園問題について書いておきましょう。待機児童はある程度軽減された説もあるようなのですが、フランスやスウェーデンの施策を書いておきます。

まずフランスでも保育園は足りていないです。足りない部分はどうやっているかというと共同シッター、母親アシスタントという別の仕組みである程度吸収しているようです。

共同シッターは近所の年の近い子の親同士で個別にシッターを雇ってシェアする形式、母親アシスタントは認定保育ママの自宅で4 人まで子どもを預かる制度。母親アシスタントは日本の保育士よりなるのが簡単で60時間の研修でなれる。

土地や設備は急には増えないので、施設に頼る意外の選択肢で吸収するのがフランス流みたいです。

スウェーデンだと逆に保育園で資格を持っていない人が6割のようでもっとゆるいです。この記事の内容がほとんどフランスで埋め尽くされていることからわかるように意外とスウェーデンはざるで闇が多い。。。

日本で一番出生率が高いのが沖縄なんですが、沖縄の人は比較的死を恐れていない、輪廻転生の考え方があるようです。

子育ては危険と隣り合わせで日本人の要求レベルだと施設のみが選択肢になりがちですが、もっと母親アシスタント相当を社会として受け入れるのも必要かもしれない。

まとめ

フランスやスウェーデンと比較して政策提案するなら

  • 年金は自分の世代の老後資金は自分の世代で完結するように
  • 基本消費税を13%に増税して財源確保
  • 少子化より未婚化の方が問題
  • パートナーシップ制度を作りゆるい結婚を可能に
  • 子供が巣立った専業主婦控除を多子家庭の給付に割り付け
  • みなし残業制は禁止し、徐々に7.5時間を基準労働時間に
  • 母親アシスタント類似制度を増設または活用

あたりがよさそうです。

他の論点もたくさんあるのですが、他国と比較するだけで結構なボリュームになってしまったのでまた次回