DL4USを受講し、無事卒業したのでその感想。
DL4USとは
DL4USは東大松尾研究室が提供している無償オンライン教育プログラム。公式サイトによると"3年間で1,000人のDeep Learning技術者を育成し,人工知能分野における日本の競争力を向上することを目的としています"とのこと。
UdacityやUdemy等の動画講座も増えてきているが、DL4USはあくまでJupyter Notebookに書かれた講義資料を解いていく形式。iLectというWebブラウザ上の簡易仮想デスクトップ環境で、割り当てられたGPU時間の範囲内でノートブックを動かし学習を進めていく。
人気のため受講には簡単な足切り試験があり、前提として基礎的なNumPyの操作ができることが要求される。
全体の流れ
講義は0-7の8章構成。課題もあり、途中2回のコードの提出と、最終課題としてレポート提出が必要。フレームワークはKeras。
- Lesson0 機械学習・深層学習のキソ
- Lesson1 手書き文字認識をしよう(ニューラルネットワーク入門)
- Lesson2 畳み込みニューラルネットワーク (CNN)
- Lesson3 系列データで予測させてみよう(RNN, LSTM)
- Lesson4 ニューラル翻訳モデルを作ってみよう(Seq2Seq, Attention)
- Lesson5 画像からキャプションを生成してみよう
- Lesson6 ニューラルネットに画像を生成させよう
- Lesson7 ニューラルネットでゲームを攻略するAIをつくろう
レッスン2と4でのコードの提出では精度を競うリーダーボードがあった。ただその準備が間に合っていないようで、提出後中の人が逐一動かしてリーダーボードの結果は事後報告だった。理想はそのレッスン中に動的に更新されるべきか。
結果
課題提出一部失敗したが、最終的には合格とのこと。普通のMoocsと違い物理証明書が郵送されてくるらしい。
よかったところ
GPU環境を用意するのはコストがかかり、それが無料で実行できるのは画期的。フレームワークもKerasでTensorflowほど初心者キラーではなかった。
悪かったところ
初回ということでα版というか運営が慣れておらず進行が少しグダグダだった。研究室の学生が運営しているんだろうか。
具体的には
- 複数グループに分けたはずのメーリングリストが何度も送られる。
- iLectがChrome以外だと動かない、GPUが不安定
- 講義資料が権限の関係でそのままの場所だと動かない
- リーダーボードは逐次更新されない
などのトラブルがあった。
所感
技術者育成するという野望は共感できるものの、無理に無料にせず、お金とって安定した運営にした方がよかったのでは。テスラモデルというか。松尾研究室ネームバリューもあるでしょうし。
ビジネス的には日本語でGPU環境付きで簡単に学べるという点が売りだったはずだが、GoogleのColaboratoryでも無料でGPUが使えるようになり、Githubにある無料のnotebookで代替可能となると少しつらいかもしれない。
日本語でもUdemyで動画でDeep Learningを学習できる状況の中で、テキストベースだけだと差別化が弱いというか。そんなさなかAidemyがVTuberを起用するという話もあり、そちらの方が正統派?な日本ローカライズなのかなとも思いました。