科学的な適職を読んだメモ
科学的な適職を読んだ
科学的な適職という本を読みました。ビジネス書グランプリ2021 5位の本です。表紙がメンタリストのDaiGoですが書いたのは別の人。
よくある著者の経験ベースの雰囲気ビジネス書と違い研究ベースが良かったので紹介します。
7つの大罪と7つの徳目
目次通り、仕事選びにおいて7つの大罪と7つの徳目があるとしてその詳細を紐解いていく構成になっています。
7つの大罪として
- 【大罪1】好きを仕事にする
- 【大罪2】給料の多さで選ぶ
- 【大罪3】業界や職種で選ぶ
- 【大罪4】仕事の楽さで選ぶ
- 【大罪5】性格テストで選ぶ
- 【大罪6】直感で選ぶ
- 【大罪7】適性に合った仕事を求める
があげられており、これで選ぶと幸福度は上がらない、逆に7つの徳目をベースに選ぶと幸福度が上がりやすいという主張です。
- 【徳目1】自由
- 【徳目2】達成
- 【徳目3】焦点
- 【徳目4】明確
- 【徳目5】多様
- 【徳目6】仲間
- 【徳目7】貢献
その主張には共感できたところも共感できなかったところもあるのですが、印象的だったいくつかの話を抜粋して紹介します。
二択で考えると失敗しやすい
オハイオ大学が一流企業で働くCEOやCOOを調べた研究では意思決定の際に3つ以上の選択肢を吟味したビジネスパーソンは29%のみで2択だけで意思決定をした場合の失敗率は52%、3つ以上の選択肢を用意した場合の失敗率は32%。
似たような主張は他にも出ていて視野狭窄にならない方がいいのはそうですね
好きを仕事にしようとする思いが強すぎると失敗しやすい
2015年のミシガン州立大学の研究によると好きなことを仕事にするのが幸せという適合派タイプと仕事は続けるうちに好きになるものだと考える成長派タイプとを比較すると適合派の幸福度が高いのは最初だけで、1~5年のスパンで見た場合、成長派の方が幸福度、年収、キャリアのレベルは高かった。
2014年のロイファナ大学の起業家へのアンケートでは仕事に情熱を持てるかどうかは人生で注いだリソースの量に比例するそうです。
適合派は給料 < 満足度、成長派は給料 > 満足度なので年収やキャリア部分は順当といった感じですが幸福度で適合派が勝たないのは意外ですね。給料と仕事の満足度は0.15の相関係数しかないそうなので、どんな仕事にも嫌な部分があるということでしょうか。
エグゼクティブの方が健康で幸福度が高い
社内で高いポジションにいるエグゼクティブほど健康で幸福度が高い。周囲の部下よりも仕事の量が多いにもかかわらず、風邪や慢性病などにかかりにくく、日中の疲れを感じずらい。
ここは相関が逆な気がしますね。本書の中で一番主張が疑わしいポイントでした。体が強い人が昇進しているのかなと。
仕事のパフォーマンスはワークサンプルテスト、IQテストが相関が高い
フランクシュミットとジョンハンターによる過去100年の仕事のパフォーマンスを事前に見抜く方法のメタ分析によると適性検査の信頼度は以下。
- ワークサンプルテスト(0.54)
- IQテスト(0.51)
- 構造的面接(0.51)
- ピアレーティング(0.49)
- 職業知識テスト(0.48)
- インターンシップ(0.44)
- 正直度テスト(0.41)
- 普通の面接(0.38)
- 前職の経歴(0.18)
- 学歴(0.1)
ワークサンプルテスト強いですね。IQテストが思ったより高いので学歴を信じず新卒でSPIテストやるのもある程度合理的でしょうか。地頭の良さが重要なのは自分の経験とも合っています。
女性と男性で幸福になりやすい自由が変わる
女性と男性で幸福になりやすい自由が変わる傾向があり
- 女性: 仕事に取り組む場所とタイミングの自由が効くほど幸福度は上がる
- 男性: 仕事の進め方と作業ペースの自由が効くほど幸福度は上がる
とのこと。
子育てを受け持ちやすい女性ほど場所を気にする傾向なのはそうですね。
所感
類書として2023年に読んだ「科学的に正しい筋トレ 最強の教科書」や「世界一シンプルで科学的に証明された究極の食事」もエビデンス豊富で好きです。
他にも大量に研究紹介があったのでぜひ読んでみてください。
一方で7つの大罪と7つの徳目が仮に真実だとしてもVUCAの時代、M&Aやトップの変更によって業務内容が変わることはありますし、ベストフィットを探しすぎても労力に見合わないこともあるかもしれないとも思ったりします。