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新規事業の難易度が上がると大事なIFRS対応

国際財務報告基準についてまとめてみる

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前口上

PC用のWebサービスをアプリにコンバートすることで競合優位性が出せた時代は終わり、新規事業の難易度は年々上がっている感覚があります。

サイバーエージェントなど老舗のIT企業でもこの感覚はあるようで新卒文化からの方針転換でM&Aにも力を入れていくようです。社内でシードから育てるというより、すでに事業があるところから買わないと成長が見込めなくなってきているということですね。

business.nikkei.com

M&Aをやりやすくする方法の一つに会計基準の変更がありIFRSについてまとめてみます。

なお自分は会計士ではなく以下は個人的メモです。

会計基準の種類

企業の財務諸表を作成うえでいくつか基準があり、日本については4つの中から選べます。

  • 日本会計基準
  • 米国会計基準
  • IFRS(国際会計基準)
  • JMIS(修正国際会計基準)

日本会計基準は日本の企業が元々使っていた基準、米国会計基準は米国の基準、IFRSは世界で適用国の多い基準で多くの国でIFRSへの移行が進んでいます。グローバルでの投資をする上で不正しづらい統一した基準で見れた方が良いからです。

日本の企業でもIFRSへの採用企業が増えてはいますが進みは遅く、JMISはつなぎとして用意されたようですが、採用企業は調べた限りいないようです。

会計基準の歴史

IFRSの歴史を調べると大きな適用はEUから始まったことがわかります。2005年に上場企業に強制適用。アジアでも韓国が2011年からIFRSの強制適用となっています。

日本やアメリカでも強制適用の話があったようですが、リーマンショックや東日本大震災などの影響でうやむやになったようです。

上場企業3824社の内、IFRS適用企業はわずか6%の238社(2021/12時点)

IFRS適用すると何が得か

日本会計基準とIFRSの大きな違いにのれんがあります。元々はもっとたくさんあったようなのですが、日本法側をIFRSに寄せるような改正が過去なされた結果数十年前と比べると差分が減っているようです。

のれん(goodwill)はM&Aの際の買収価格と純資産の差額で日本基準だと定期的に償却、例えば年で割って毎年その費用がかかったとみなす必要がありますが、IFRSでは必要がありません。日本基準だと会計の表現の見え方として利益が少なく見えやすいということです。

企業を買収後思っていたほどパフォーマンスが出なかった際に減損処理することがあります。IFRSの方がこの減損処理は厳しいので全てIFRSが有利かといえばそんなことはないのですが、M&Aをよくする企業ではこの性質を考慮してIFRSを採用しているようです。

IT系だとソフトバンクや楽天、Zホールディングスが採用しています。

面白いことにIFRS側が逆に日本ののれんに寄せられないかの検討もされたようですが、否決されたとか。

耐用年数も違う

IFRSとの違いはのれん以外もあって例えば耐用年数の違いがそうです。通常日本基準では固定資産ごとに耐用年数が決められているのに対してIFRSでは予定したものとなっています。

格安パソコンとハイスペックなパソコンでは持ちが違いますね。日本基準だと同じパソコンだからと一緒にされ、IFRSだと実態に即したものを企業が決める必要があるということです。

以前、京セラは日本基準でも、実態に則した会計処理をするために税金を多く払ってIFRSのようなことをしたという話を聞いたことがあります。適切に設定できるならデータが歪んでしまわないのでIFRSのやり方の方がサプライズはない気はしますね。

所感

基準が複数あって複雑ですね。IFRSはIPOでグローバルオファーリングする時も大事そうだと思いました。