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There's More Than One Way To Do It

採用困難性を抱える事業との向き合い方

答えは出ていない

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前口上

最近は崩れつつありますが日本は長らく終身雇用というのがポピュラーなサラリーマンの働き方で、転職率は他の国と比べると低いです。

スタートアップは投資家から急成長を要求されるわけですが、広告などと違い、人材確保はお金を積めばすぐに解決できるかというかとそうではなく、事業成長の律速点となることが多いです。

その上事業の新規性は年々出しづらくなっており、中には構造的に採用困難性が存在する事業というものもあります。

事業ドメインの壁

採用困難性の一つに特殊な事業ドメインがある場合があります。

例えばアダルト関係だったり、ギャンブルの絡むサービスでは世間的な後ろめたさから人は集まりづらいです。若いうちは気にせず働いた人でも結婚を機に世間体を気にして転職してしまうということもあるかもしれないですね。

他にも例えば文系専門性の要求されるサービスではエンジニアはイメージがわきづらいです。科学系の論文まとめサービスなら親和性が高いかもしれないですが、法律文書のチェックサービスではモチベーションが低くなりがちかもしれません。

最近はプログラミングスクール経由で全く別の職種からの転職組もいるのでそういう人を狙ってみるというのも一つの方策ですがジュニアよりの人が多い。

法律系のサービスなら別途弁護士を雇って、ドメイン部分と開発部分を極力分けるというのも一つの方策かもしれません。人材の交換可能性を高めるためにジョブディスクリプションを減らす。

逆に定期的に勉強会を開催して既存人員へのドメイン知識の教育に力を入れるというのも一つの方策です。

地理的な壁

コロナ禍でリモートワークの企業も増えていますが、逆にそれを取れない企業というのは一つの採用困難性を抱えているとも言えます。

例えばAmazon Goのような物理的デバイスによる画像認識が必要な企業はハードウェア設置の関係でどうしても物理的なメンテナンスが必要かもしれないですし、個人情報に近いデータ分析を受託している企業では契約の関係でインターネットのない環境での作業を要求されるということもあるかもしれない。

地方から人を取れないというのは痛いですね。対応は危険手当を出すことかもしれないし、出社が必要な作業を極力切り分けたりでしょうか。

言語の壁

例えば日本の化粧品を中国で販売する越境サービスがあるとしましょう。ユーザーは中国人なのでUIは中国語で作らなければいけません。残念ながら代表含め社員は日本人です。英語化ならいけるかもしれないけれど中国語となるとちょっと。そういうケースではどういう作戦を立てますか?

英語でサイトを作って、開発作業と翻訳部分をわけるというのも一つの方策ですね。中国人のエンジニアを採用するためにビザのサポートなどを会社として積極的に取り組むというのも一つの取り組みかもしれません。

採用困難性を担当レベルで解決することは困難

以上のようにいくつかパターンを分けることによって、平均より見劣りする部分を均衡状態に近づけるということは可能だと思います。

一方で 採用困難性を担当レベルで解決することは困難だとも思います。事業を始めるにあたりいつ何をやるかというのは中の人の優秀さより成功へのウェイトが高いファクターです。スタートした時点で勝負が決まっている。

仮にあなたが投資家だとして2021年にすごいエアコンを発明したという人から絶対売れると言われたら賭けますか?アフリカとかならまだしも日本だともうどこの家にもエアコンありますね。

仮にその人がシリアルアントレプレナーでもマクロ経済にはなかなか勝てないんじゃないでしょうか。時流を読めたら勝負の9割が決まっていることもあると思います。