アニメで原付(バイク)に入門してみる
アニメ「スーパーカブ」とは
スーパーカブは2021年4月から放送されているホンダのスーパーカブという原付を題材にしたアニメです。
3Dでしっかり作られたバイクのメンテナンスの細かい描写、ドビュッシーなどのクラシック音楽、キャラクターの顔がグシャッとなる人間味のある表情が見どころ。
アニメを観つつ、プラモデルを組みつつ、二輪車の仕様を調べてみるというのが本記事の趣旨。
スーパーカブ
スーパーカブには種類があり主に50と110があり、排気量が違います。50の方は一種原付で乗れますが110は二種原付の免許がないと乗れません。他にもオフロード用のクロスカブがあったり、新聞配達や郵便局、そばの出前なんかでも使われることが多いです。
令和2年12月より排ガス規制が強化されていますが、50ccモデルはその適用時で規制をクリアするのが厳しいとも言われており、将来的にはなくなってしまう可能性もある模様。
プラモデルを組み立ててみる
動くプラモの男の子ほいほい力は異常#スーパーカブ組み立て pic.twitter.com/uw8PbJGsma
— H. NOMATA (@hiromichinomata) May 3, 2021
構造把握のためにフジミ模型のプラモデルを組んでみました。アニメで主人公の小熊が乗っているのは50でプラモデルは110です。通常自転車では二人乗りは違法ですがバイクでは一定サイズ以上は合法なので110は二人乗り用のステップが付いています。
オートバイにまたがるのでなく足を底面につくタイプのものをスクーターと言いますが、カブはレッグカバーが付いており足の保護という観点では間くらいかもしれません。メンテしやすさからアニメ版では主要キャラの礼子さんは外しています。
座っている部分の直下にあるのがエンジンです。バイクのエンジンには縦置きのものと横置きもものがあり、スーパーカブは横型エンジンです。縦型エンジンの方が効率は良い反面、横型エンジンの方がレイアウト効率に優れ、シート高を低くできるため女性でも乗りやすいとか。
カブのどこにでもいける感はどこからくるか
アニメでは礼子さんは「どこにでも行けるわよ。だってカブだもん」と豪語しています。カブのどこにでもいける感はどこからくるのでしょうか。
- 乗り始められる年齢
日本において普通自動車の免許を取得できるのは18歳からですが、二輪車の免許は16歳から取得可能です。アニメにおいても小熊は元々自転車に乗っていましたが、原付に乗る人が前乗っていた乗り物が自転車というのは確率が高いような気がします。
日常のレンジにおいて自転車=>バイクの移動速度向上とバイク=>自動車だと前者の方が向上割合が多く進化した感じが多いのではないか
- 燃費
ものを運ぶというのはエネルギーがいるわけですが、車とバイクでは当然ながら車体の重量が違います。事故にあった際にバイクは危ないとも言いますが、守ってくれるというのはそのまま車体重量に跳ね返ります。
調べたところ同じような指標だとプリウスでも30km/Lに対しカブは70km/L程度出るようです。ホンダのエンジンが優秀というのもありますが燃費において軽さは正義ですね。少ない燃料で距離を走れるのでどこにでも行ける感が出る。
- 頑丈さ
今でこそ4ストロークエンジンが多いのですが、スーパーカブ発売当初では2ストロークのエンジンが多く、そこはカブの特性だったようです。2ストエンジンは燃料を入れるだけではダメでエンジンオイルを混ぜる必要があります。混合比がずれるとエンジンの寿命が縮むようで、メンテナンス性で勝る4スト搭載のカブが新興国で受けたとか。
走りたい時に走ってくれるからどこにでもいける
アニメに出てくるバイク
バイクや原付、スクーターは日常に紐づいているので他のアニメでも出てきます。 調べたところ
- キノの旅のキノ: ブラフシューペリアSS100
- デュラララのセルティ: YAMAHAのV-MAXを元にした何か
- 銀魂の銀さん: ベスパ
- ゆるキャンの志摩リン: YAMAHAのビーノ
があるみたいです。名探偵コナンもバイクがよく出てくる説あり。
ブラフシューペリアSS100のプラモとか5万円くらいするので高級ですね。
モビリティーをめぐる法律
IT系の企業がサービスを行う上で考慮すべき法律を調べました。
- 自転車の二人乗り
法律上バイクは二人乗りできるのに自転車はできないのが謎だったのですが、通常の自転車より大きい二人乗り専用自転車(タンデム自転車)もあるようです。
東京に引きこもっていると気付きづらいですが東京以外は割とOKな都道府県もあるようで観光地などでは走れる模様。
- 運送業許可はバイクなら不要
Uber Eatsでは二輪が目立ちますが、アメリカなら買い物代行のInstacartなんてサービスもありますね。車での運搬がそれほどポピュラーでないのがなんでかと思ったのですが日本の法律では他人から依頼を受けて運賃をもらい荷物を運ぶ場合運送業に当たり、個人事業主は実質的に不可のようです。
2輪自動車を使う場合は運送業にあたらないという例外規定があり、それゆえにCtoCの宅配では個人事業主は自転車かバイクを使う必要があります。
- 電気自転車の速度制限
電動アシスト自転車のアシスト制限は24kmまでという法律があります。海外ではその制限が緩いところもあるようですが、台湾ではそれゆえか電気自転車のヘルメットが義務となっています。
海外製のものがそのまま使えるように法改正するにしても規制緩和はヘルメット装着とセットかもしれません。
最近のモビリティーサービスの動向
最近のトレンドに付いてもみてみます。
- 電動トライク
巣ごもり需要から宅配ニーズが拡大していますが、マクドナルドでも使われているAAカーゴが人気のようです。二輪ではなく3輪で屋根が付いています。
電動で左右のタイヤが独立で動き、バックもできるのが売りとか。
ビーノは電動のE-Vinoを出してます。ホンダはeカブは出していないようですが、EV-neoは出していた模様(生産終了)。
- 電動キックボード
Segway Drift難すぎわろた。マニュアルに最初支える人つけろ、プロテクターフル装備しろと書いてあるだけある。
— H. NOMATA (@hiromichinomata) September 11, 2020
車のペダルの感覚だろうと思ってたけど感度全然違うね。足裏の真ん中付近をかすかに前後移動に留めないとがたつく。
スリッパ分の力を繊細にコントロールできないと両足乗れもしない pic.twitter.com/VJXhNYUPeP
セグウェイなんかも公道を走れなかったり、電動キックボードなどの新しい乗り物は日本では慎重ですね。セールで買ったSegway Driftも結構不安定でコツが必要だったので気持ちはわかります。
電動キックボードは実証実験をLUUPが行っています。何回か実施しているようですが直近の実証実験では自転車程度の速度で免許が必要と道は険しく感じました。
成長戦略としてまず一つのエリアで普及させて広げていくは常套手段ですが、タンデム自転車を見ても都市部でまず普及させるのは勝ちパターンでないかもしれません。
モビリティーに関してはその中心は渋谷とかではなく観光地から始めた方が受け入れやすいようにも感じました。台湾で流行っている電動バイクのGogoroも石垣島では使えます。
最後に
プラモデルやフィギュアで一番大事なのはやはり外装の造形の部分で車や船だと中の構造は見えないことも多いですが、バイクは構造が単純な分、剥き出しで機構の把握がしやすいのはいいですね。
フルスクラッチで実物のバイクを何回も組み立てるのは大変なのでプラモデルはメイカー視点でいうと機械設計の教材として優秀だと思いました。