老舗IT企業の再生に習う
前口上
エキサイトは同名のポータルサイトを運営する企業でで20年以上続く老舗IT企業です。2018年にXTechに買収され4期連続赤字の状態からV字回復を果たしたと報道されています。
DXなんて言葉がはやる程度には伝統的日本企業のIT化は望まれていますし、新興のスタートアップにおいても急成長した際に組織崩壊したなんて話はよく聞くものです。V字回復の成功例に学ぶところがあるのではと思い振り返ってみます。
Exciteとは
エクサイトは日本語のポータルサイトでブログやプロバイダー、ニュースや乗り換え案内、翻訳など多数のサービスを提供しています。Yahoo Japanの競合といえばわかりやすいでしょうか。
直近のプレスリリースでは経営管理プラットフォームKUROTEN.やリモート対面占いMajaなどの新規事業を行なっているようです。
XTechとは
XtechはXtechとXtech Venturesの2社があり、Xtechの方はStartup Studioを提供しています。
Venturesは100億円のファンドやミクシィと一緒にTech Growth Capitalを設立して英国風PUBのHUBなどに投資を行なっているようです。
買収
2018年に52億円で95%を取得しました。PEファンドでも過半数以上を取得しますが95%は多いですね。議決権の半数以上取得したのはそれだけポテンシャルがあると踏んだからかと思ったのですがインタビュー見る限り目分量で飛び込んだ感が強いですね。。。キラキラな企業なら他に投資されている説もありますが。
買収後にやったこと
報道によると4期連続赤字の状態から1年で黒字に回復させたようです。以下個別の施策を見てみます。
単なるカットなし、地道な条件交渉
通常こういった買収で最初に手をつけるのは不採算事業の精算だと思います。海外だとよりドラスティックですが、人をリストラしたりメーカーなら工場閉鎖だったりが行われます。
今回は人員削減や給与削減は行わなかったとあります。TOBの前提だった感じがありますね。
一方で不採算子会社の整理は行なったと報道されている他、取引先とのコスト削減は徹底的に行なったと書かれています。ここら辺は結構経験によるものがあるみたいですね。しいていうなら相見積もりや他の上場企業のIRや交流会で相場をつかむくらいでしょうか。
直間比率の見直し、若手の待遇向上
改革の柱として労働生産性の向上が挙げられています。マネージャーと直接手を動かす人員との比率が1:3だったものを1:6にしたそうです。
マネージャー一人に対する部下の適正人数をスパン・オブ・コントロールと言いますが、よく言われる適正ラインは5~8人程度でしょうか。エキサイトは低い側に位置していたわけですね。
さらに言うなら部下のいないマネージャーもいたようです。どうしてこういうことが起きるのかというと歪んだ評価制度があるのではと思いました。伝統的な日本企業の評価では待遇を上げるためには管理職になるしかないというパターンをよく聞く話です。同僚の間で仲がいいほど長期的には忖度によって名ばかりマネージャーが増えたのではないか
仮に企業のビジネスとしてプレイヤー割合が多い方が合理的でそういった人員が利益の源泉ならしっかりとプレイヤーとマネージャー両立パスがある評価制度を作ることが大事だと思いました。
実際、評価項目を単純にすることで若手の給与が上がりやすいようにもしたようです。
伸びる事業への再投資
エキサイトは決して新規事業への投資をしていなかったわけではないようですが、3ヶ月という回収基準が新規事業の足枷になったそうです。新規事業を始めてはすぐ閉じるベンチャーというのもしばしばみるパターンではありますね。
SaaSのように指標がパターン化した見込みがつきやすいビジネスならもっと踏み込んで投資できたそうです。ビジネスの型から指標の相場を学ぶ必要があったということでしょうか。
成長率+利益率=40%以上が優良企業としてSaaSの撤退ラインはどの辺ですかね?
まとめ
- 社外取引の条件は相場をちゃんと見る
- プレイヤーをマネージャーと同じく評価せよ
- 撤退ラインを厳しくしすぎて芽を潰さないように