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「エンジニアのマネジメントがわからない」は本当にエンジニアだからなのか

管理職の悩みの切り分け方

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前口上

スーパーマンでない限りソフトウェアプロダクトを一人で開発するのは困難で、徒党を組む必要があります。

チーム開発において、プロダクトがまだ小さく機能も少ない範囲なら完全にフラットな関係のまま突き進むことも可能ですが、Googleでの実験結果が示すとおり、規模が大きくに連れ、なんらかのマネージャー職が必要になるものです。

そういった職種についている方はしばしば口にしてしまうのです。
「エンジニアのマネジメントがわからない」と。その悩みは本当にエンジニアだからなのでしょうか?

ケース1: 単に経験不足でわからない

今までマネージャーをやったことのない人が急に抜擢されたケースです。単にマネジメントがわからないとも言えます。

例えば学生起業で運よくあたったり、スタートアップにジョインするタイミングがはやく今まで担当だった人が急に別ロールをすることになったケースがそうです。

将来のキャリアを見据えて自分でチャレンジする場合はいいのですが、やっぱり向いていなかったというケースもぼちぼち見ます。あっていないロールを続けても個人、組織双方にとって不幸しかないので代わりの人を見つけた人がいい場合もあります。

Tryする場合は最近はPMやエンジニアリングマネージャーも勉強会を開催していたりしますし、まずは勉強会に参加してみるくらいがいいのではないでしょうか。知見がまとまった素敵な本もあるみたいですね。

ケース2: 技術がわからないからわからない

エニジニア出身でないPMやディレクターがエンジニアリング・マネージャーを兼務しているケースです。

何か機能を開発する上で、影響の大小や工数の見込みをうまくバリデートできなかったりします。

外注するとふっかけられることもありそうなので極力開発体制は内製比率を上げる、自身もアプリかWeb技術のチュートリアルをやってみるあたりが解でしょうか。全社員SQLはかけると言う会社もありますし最低限の素養はそもそものロールの条件に入れてもいいかもしれません。

"ビジネスのわかるエンジニアがいない" の裏返しはエンジニア出身のマネージャー/経営者が少ないに起因する気がするのでもっとそういうキャリアパスが流行ってもいいと思います。

ケース3: モデルケースがいないからわからない

学生起業や今まで同様のロールのイメージが湧いていないケースです。

WEB企業は業界自体が若く、これはエンジニアでも当てはまると思います。30,40くらいの人はいるけど50,60で活躍するイメージが湧かない。

まずは他の会社で同様のロールの人の話を聞いてみるというのも解ですが、他業種に目を向けてもいいですね。 電気、機械、化学系の業界なら定年を迎えた方もいらっしゃいますし、自分がどう定年を迎えるのかのイメージがつきやすいかもしれません。

ケース4: 急成長する組織だからわからない

会社の方向性としてマイペースに未上場でなく、VCなどから資金調達して急成長を目指すパターンです。

エンジニアでもフェーズによってやることが変わるというのはよくある話ですし、フェーズによって組織の悩みは変わっています。

一番いいのは2周目の人を探すですが、あまり流行っているスキームではない気がしますね。経営者ならやれシリアルアントレプレナーともてはやされることもありますし、CFOでもイグジット経験者がまた上場前の会社に転職するというのはよく見ます。一方でシリアルCTO、シリアルVPoEを目指すより次はCEOという方が多い気がします。待遇面が悪いからでしょうか。

プロ経営者も批判されることもありますが、技術立国を掲げるならプロCTOも必要なロールなのではとも思います。

より母数の多い別解としてはフリーランス経験者、兼業経験者の登用がいい気がしますね。全員フルタイムで勤続年数が多い職場は理想的ですが一方で異なる組織構造との比較ができずうまく解を導き出せないケースは見ます。

その他

他のケースも上げておきます。

  • ケース5: 人数が多いからわからない
  • ケース6: 多様な働き方があるからわからない
  • ケース7: 工数が線形で見込めないからわからない
  • ケース8: 情報がクローズドだからわからない
  • ケース9: 経営目標がないからわからない
  • ケース10: マネージャーが多すぎてわからない

最後に

エンジニアのXXXがわからないという時、それってエンジニアという枕詞いらないのでは?というケースをしばしば見ます。

人間の本能として正解を知りたい、間違えたくないというのは当然のことですがそれ通り実装すれば大丈夫な仕様のようなものが存在することは稀です。組織、人間関係というのはどこまでいっても各個論で、ビジネス書に書いてある答えを探し求めるのでなく、個々に違うもやっとした問題をちゃんと分解して解決に導ける能力が必要とされていることなのではないでしょうか。