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HIGH OUTPUT PLAYER - 評価されるプレイヤーはどういう人か

独自理論を提唱してみる

前口上

HIGH OUTPUT MANAGEMENTというマネジメントについて書かれた本があり、そのなかでマネージャーの評価の公式が出てきます。

マネジャーのアウトプット=自分の組織のアウトプット+影響力が及ぶ隣接組織のアウトプット というやつですね。

さてこの公式、マネージャーの評価方法の一つとして的を得ている部分はあるのですが、これを少し拡張するとプレイヤーにも使えるより汎化された公式になるのでは?とふと思ったので提案してみます。

TLDR

さっそくですが新公式です。

職業人の評価 = 自身の能力 + 自身の専門性組織への影響力 + 専門外の組織への影響力

以下細かく見ていきます。

マネージャーの評価はHIGH OUTPUT MANAGEMENT + 他マネージャーへの影響力 で決まる

マネージャーの専門性がマネジメントだとすると上に上げた公式は以下のようになります。

マネージャーの評価 = マネージャー自身の能力 + 他のマネージャーへの影響力 + 隣接組織への影響力

概ねHIGH OUTPUT MANAGEMENTの通りなのですが、他のマネージャーへの影響力の部分が増えています。

マネージャーが例えば課長レベルとして、課長と部長の違いはどこにあるかと言えば、課長を育成できるかという部分だと思うんですよね。HIGH OUTPUT MANAGEMENTの公式は課長の評価制度としては的を得ている部分はあるのですが、どういう人が部長になりうるかという観点が欠けています。

マネージャー自身の能力はマネジメントもそうですし、課長レベルなら一定のプレイヤーとしての能力もいるでしょう。

マネジメントが集団を率いる能力だとすればマネージャーのマネージャーのマネージャーくらいになると純粋なマネジメント力だけで戦える可能性もありますが、せいぜい課長レベルなら現場よりなので普通にプレイヤーとしての能力も一定程度必要な気はしています。

隣接組織への影響力はそのままです。

プレイヤーの評価はマネージャー評価をチャプター視点で見たもの

次にプレイヤーは公式を適用すると以下のようになると思います。

プレイヤーの評価 = プレイヤー自身の能力 + 同じ専門性のプレイヤーへの影響力 + 隣接専門性への影響力

おおむねSpotifyモデルでマネージャーがSquad軸で見ていたものをプレイヤーではChapter方向で見ています。

プレイヤー自身の能力はわかりやすいですね。ソフトウェアエンジニアならテックリードとしての自身の能力の部分。

同じ専門性のプレイヤーへの影響力はChapterを率いれるかでここが今回のHIGH OUTPUT PLAYER理論の肝の部分です。ソフトウェアエンジニアでIndividual Contributorの方のインタビューなんか見てもただコードを書くというよりは結構コミュニケーションは必要とされている印象です。

コンサルのような業態やフリーランスの場合はいらない場合もあるかもしれないですが、組織内でサラリーマン的働き方をしていると、単に専門性があるだけではだめで、組織内でエバンジェリスト的役割を期待されることが多いようには思います。〇〇専門委員会を率いて専門組織の底上げができるかが大事かなと。

隣接専門性への影響力は従来コンピテンシーの中にあったようなソフトスキルの部分と、これはプレイヤー自身の能力といえば自身の能力なのですが、複数専門性がある場合に橋渡しできているかがここのポイントになる気がします。

例えばプロダクトデザイナーをおいている企業だとデザイナーがPMの役割を少し兼務している場合があります。同様にデザイナー+フロントエンド=デザインエンジニア、エンジニア+PM=テクニカルプログラムマネージャだったり、2つ専門性があると強みは増えますね。

ジョブ型雇用時代ではコンピテンシーの分解が必要

今回提案したHIGH OUTPUT PLAYER理論はメンバーシップ型雇用であいまいだったコンピテンシー評価の部分がより分解された形だとも思っています。

つまり、従来のコンピテンシー評価 = 自身の専門性組織への影響力 + 専門外の組織への影響力 に分けられるのではないかと。

メンバーシップ雇用でジョブローテがあるとその組織のカルチャーにどれだけどっぷりつかっているか、社内に知り合いがいるか、いいやつかあたりがぼやっとコンピテンシーにのっていた気がします。自身の能力+コンピテンシーで評価だと自身の専門性組織への影響力が軽視されていたのではないかと。

メンバーシップ雇用からジョブ型雇用に移行しようとしている企業は、組織の専門性をあげるために社内エバンジェリスト能力の高さを明示的に別の項とすることでよりうまくいくのではないかというのがひとつの仮説です。

所感

読めていないのですが、エンジニアのためのマネジメントキャリアパスの対極の本でThe Staff Engineer's Pathという本も出版されているようです。読んだらレビュー書きたいと思います。