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VRMで100日遊んでみた #VRM100DAYS

VRMを遊びたおす

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VRMとは

VRMはVRMコンソーシアムが主導して作られている3D CGの規格です。有名どころだとFBXなどがありますが、OpenGLなどで有名なKhronos GroupによってメンテナンスされているglTFをベースに人型のキャラクターに重きを置いているのがVRMの特徴です。

VRMを作れるソフトとしてVRoid Studioというpixivが出しているツールが有名なためVRM=VRoid Studioのファイルとして誤解されることもありますが、VRM自体はオープンな規格でBlenderなど一般的なCG作成ソフトで作ったモデルをベースに作れます。

今回広くVRMに関係ありそうなことで100日遊んでみるというのが企画の趣旨です。

100日でやったこと

100日遊んだことをざっくり分類するなら

  • VRoid Studio
  • セシル変身アプリ
  • キャラクターの感情表現
  • Unity
  • VRMを使用した絵作りの研究
  • MMD関係
  • 一般的な3D CGソフトの操作習得
  • VTuberツールのテスト
  • VRM周辺ツール

あたりでしょうか。個別にみていきます。

VRoid Studio

VRoid Studioはpixiv製のキャラクター作成ツールです。

VRoid Studioの偉大さをあえて表すならオープンさ、コミュニティー、ボディーペイント、技術力でしょうか。

今までもこういった人形モデル作成ツールもあるにはあったのですが、どちらかというとゲームをプレイするためのアバターを作成するためのもので、エクスポートする仕組みがなく、あったとしても規約で縛られていることがほとんどでした。VRoid Studioで作成したモデルは簡単に出力でき、アセット等を使わなければ自由に自分が権利を主張でき、とてもオープンです。

またBoothというマーケットプレイスでテクスチャーなどが販売されており、例えば瞳だったり、髪のパーツだったり、自分のモデリング能力の足りない部分を補うことができます。

VRoid Studioは基本的に頭部にカスタマイズのフォーカスを置いており、髪などはペンで描くように作ることができるのですが、体の形状は基本パラメトリックな値を上下させるだけです。また、服も形のパターンが決まっており、任意の形にすうることはできないです。あくまで服にボディーペイントというのでしょうか、影などをテクスチャーに埋め込むという割り切りでできています。pixivのメインユーザー層はイラストレーター なので3Dの部分をあえて2Dによせたというのが成功要因かもしれません。

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3D CGソフトは一般に重いアプリケーションなのですが、ライブラリーを見る限り内部的に速度や安定性に定評のあるRustが使われているようです。

セシル変身アプリ

セシル変身アプリはVRoid Studioと双璧をなすVRM作成ソフトです。VRoid Studioよりもっと割り切りがあり、どうしても表現できない形があります。それでも特定パターンの組み合わせでVRMを作成できるので初心者にはこちらの方がとっつきやすいと思います。

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ワンピースのカットパターンに対して、模様を簡単に作れるドレスメーカー機能や、魔女風の帽子に対してカスタマイズできる帽子メーカー、VRM外ですがリアル調の目や口を隠してコミカル表現ができるマンガ風機能など先進的な機能も特徴的です。

VRoid Studioは簡易ペイントソフトが同梱されているのですが、セシル変身ではテクスチャ編集は外部のイラストソフトを使う前提なところがあり、そこは弱い部分。一方で単体での絵作りではセシル変身アプリの方が優秀な部分はあります。

キャラクターの感情表現

VRMは表情のパターンの仕様があり、それを独自に拡張する人がちらほらいたので拡張の仕方を統一できないかと検討しました。

ja.algonote.com

満額ではないのですが、自分の提案は一部うけいられたようでVRM1.0からfunはrelaxedに、suprprisedが追加になるようです。

github.com

Unity

普段Web開発メインなのでゲーム開発とは疎遠なんですよね。Unityは以前ゲームを作ろうとして完成しなかった経験があるので、最新のUnityでガチャガチャいじれたのはよかったです。

モバイルアプリ開発がJava=>Kotlin, Objective C=>Swift化で簡易になっているので参入障壁が低くなっている気がします。一つの市場価値のあげ方はFlutterやReact Nativeなども使えるマルチプラットフォーム対応能力ですが、眼鏡型のARデバイスが来るのはほぼ確定された未来なので今後モバイルアプリエンジニアの標準スキルセットがKotlin+UnityかSwift+Unityの世界もありそうだなと思っています。

VRMを使用した絵作りの研究

マンガテック2020という集英社主催のアクセラレーターがあり、それ用のアイディアを実践するというのも本企画の目的の一つだったりするのですが、落選してしまいました。無念。

起業家の見えている世界を100%理解できているのは起業家だけだと思っているのであきらめずにまたチャレンジしたい。

MMD関係

ヒューマノイドモデルで既存資産が豊富なのはMikuMikuDanceですね。MMDとVRMの相互変換も行われるようですが、ライセンス周りで係争になる場合もあるようです。

VRM関係のツールがMMDにあるものの再発明を行っていることもあり、歴史に学べることはある気はしています。

一般的な3D CGソフトの操作習得

Blenderやメタセコイアの操作を学びました。メタセコイアの方が操作は簡単に反面、UVモーフとかはできないですね。

VRoid Studio単体だと重ね着できないのが苦痛でMarvelous Designerも復習していたのですが、モデルに服つけるまでいけなかったのでまたやりたい。

VTuberツールのテスト

一昔前は個人でVTuberというとLive2Dを使ったツールも多かったですが、VRMベースのツールもいくつか出ています。

全身モーションキャプチャーというとOculusは貧弱でVIVEのトラッカーを使うのが主流。一方でより安価なモーキャプツールは多くの個人開発者が開発していて戦国時代感があります。

個人的にはOpenCV AI Kitがそろそろ市場に出るようなのでカラーマーカーか何かで試してみたい。

VRM周辺ツール

パーフェクトシンクと呼ばれるiPhone特化のフェイシャルキャプチャーが印象的でした。いうなればVRMの独自拡張ですね。

Clip Studioの3DモデルはVRM対応していないので結構辛みがありました。

VRMに足りないもの

VRMに現状足りないのは男性モデルのサポートの少なさ、VRChat代替ツール、キラーアプリ、問題設定あたりでしょうか。

バ美肉化の需要が強いのかどうしても女性モデルのサポートの方が手厚いんですよね。VRoid Studioは差を縮めてきていますが、セシル変身も男性モデルは作れないですね。

VRChatというVR空間で対面できるソフトがあるのですが、現状VRMは直接サポートしていないのも問題だと思います。国内だとclusterが有名ですが、モデルの制限がきつく敷居の高さはあります。First Personが売りの規格で一番メジャーなプラットフォームで使えないのは弱いなと。

VRoid Studioやseed onlineなどVRMをアップロードできるサービスはあるのですが、対応ゲームが少ないですね。UGCで考えたときに、3D CGモデルを作るというのはイラストや動画よりも難しい作業だと思います。クラフトピアのVRM対応に期待でしょうか。

IoTでも似たようなことがあったんですよね。一番デジタルに近いIoTのバックエンドをやるというプラットフォームはたくさん出た時代があったのですが、肝心の一番大変なハードウェアの部分は手伝ってくれず、そのプラットフォームが使われずいくつかのサービスが終了したり。

First Personのゲームは基本的にVRなら自身の手か俯瞰viewなら背中をみていることが多いと思うんですよね。せっかく可愛く作っているのに正面から見る機会が少ないなと。アイドル育成ソフトや格ゲーの方がまだ正面から見れるなと。

VR関係でFirst PersonというとVTuber的需要が一番多そうでそういう人がいきなり別人になりたくなるかというとそうではないですね。服の差分が一番多い需要ですが、VRMはあくまでラップした上での規格なのでそのイシューは解決できないですね。

現状アバター共有サイトでは服の差分よりキャラクター自体が変わってしまうことが多くて、その割りにアプリの多くはFirst Personで食い違っている部分は多少あるのではないかと思いました。

アウトプット

togetter.com

hub.vroid.com