独断と偏見によるソフトウェアとハードウェアの比較
前口上
新しくサービスを作る際、色々な切り口がある。ある時点ではPC向けのジャンルをスマホのアプリとして出すだけで優位性が作れた。直近ならAI、音声、XR、ドローンやロボット制御など。
ソフトウェアonlyだけで新規性を作るのが難しくなる中、参入障壁を作りたいとなるとしばしばハードウェアに絡んだプロダクトを作りたくなる。
以下社長が独自ハードウェア作りたい!といった際に全力で止めるためのリスト。
ソフトウェアはアプリやウェブサービス、ハードウェアは電化製品や車のイメージ。本当はどちらももっと幅があります。
要件の追加、仕様変更
- ソフトウェア: 後から追加しやすい
- ハードウェア: 設計前に全て洗い出す必要がある
法律
- ソフトウェア: 関連法規は少ない
- ハードウェア: 関連法規は多く国によっても違う
バグ
- ソフトウェア: いつでもなおせる。虚偽の健康情報アプリなどが問題となったが基本的には多くのユースケースで間違えても死なない
- ハードウェア: 一度販売したらリコールしかない。間違えると人は死ぬ
販売方法
- ソフトウェア: サブスク(定額課金)可。収益が安定すやすい
- ハードウェア: 基本的に売り切り
販売量
- ソフトウェア: 小規模からはじめることができる
- ハードウェア: 一定以上のボリュームがないとペイしない
利益率
- ソフトウェア: 原価は基本人件費。利益率は高い
- ハードウェア: 原価は原材料や構成部品がほとんど。利益率は低くなりがち
リードタイム
- ソフトウェア: すぐに販売できる
- ハードウェア: 商品を生産する必要があり, 金型が必要な場合、それだけで数ヶ月かかる。
生産量
- ソフトウェア: コピーするだけで多売可
- ハードウェア: 工場規模でmaxの生産量はキャップされる
品質
- ソフトウェア: 作った通りに動く
- ハードウェア: 設計通り生産されるとは限らない
問題の切り分け
- ソフトウェア: 依存関係が切り分けやすい
- ハードウェア: 一つの形状変更が熱、音、匂いなど別の副作用を引き起こすことがある
シミュレーション
- ソフトウェア: 実機でもシミュレーターと同じように動く
- ハードウェア: 物理現象を完全にシミュレートするのは難しい
開発・製造拠点
- ソフトウェア: パソコンさえあれば仕事ができるので省スペース。どこでも作れる
- ハードウェア: 原材料のための倉庫、工場のまとまったスペースが必要。構成部品を外注している場所との距離も考慮が必要
人員の確保しやすさ
- ソフトウェア: エンジニアの転職は活発。オープンソースのライブラリの活用率も高く、同じ技術スタックの会社も多い
- ハードウェア: 終身雇用よりの会社が多く転職歴のない人も多い。CADや規画は会社ごとにバラバラ
模倣可能性
- ソフトウェア: バックエンドのコードは外から見えない。フロントエンドでもコンパイル言語ならビルド結果は難読化可能
- ハードウェア: 筐体などは分解すれば模倣しやすい。クラウドファンディングのプロダクトが完成する前に中国でコピー品が出回るということもある
所感
独自ハードウェアを作る前にソフトウェアだけでなんとかならないか100回考え、汎用ハードでどうにかならないか100回考えたい。