せいぞーんせんりゃくー!
VUCA状況下では人生3~4回は転職しないと食いつなげない
時代の変化が速くなったと言われることがあります。かつては世界の時価総額でトップに躍り出ていたこともある日本企業も今は見る影もありません。
上場企業のトップ10の移り変わりの速度も30年くらい前だと30年ごとに変わると言われていたそうですが、最近だと10年ごとに変わるとも言われており、儲かるビジネスの移り変わりの速度が速いVUCAの時代に入っているわけです。
そういう時代では企業の倒産も増え、一生を同じ企業で過ごすというより人生3~4回は転職しないと食いつなげない時代になったとも言えます。
特定技術を作った製品は時間が経つと作れる人が増える
メーカーなどでもリストラや早期退職者募集がされることは結構あります。特定ジャンルの製品をもう作らなくなったので工場閉鎖や部門ごと撤退というのもニュースでよく聞く話ですね。
かつて三種の神器と言われたテレビ、洗濯機、冷蔵庫を作る難易度は昔も今も変わらないかというとそうではないでしょう。薄型テレビだったり、ドラム式洗濯機だったり、画像認識してくれる冷蔵庫だったり付加価値を持った商品は今でも売れていますが、普通のテレビや洗濯機、冷蔵庫は中国メーカーの製品が電気屋に並んでおり、登場した時期が古い家電を作れる会社は登場当時より増えているでしょう。
既存製品の分解やノウハウの体系化、人材の移動なんかで他社製品の作り方というのは時間と共にノウハウはコモディティ化する傾向にあります。
特許は一つの防波堤だがそれでも20年で終わる
そういったパクリを抑止するための一つの仕組みが特許なわけですが、特殊ケースを除き20年で知財の期限が切れます。そこからはパクリ放題ですね。
家庭用3Dプリンターなんかも特許権切れが普及の原因となったとも言われています。
特許以外でもデジタルカメラなんかだとスマホの登場、全く別ジャンルの製品の登場によって市場が食われています。
技術者の専門性へのベットは時にもリスクがある
例えば営業なんかは製品がスイッチしても食いつなげるスキルです。新しい商品の仕様や売り文句なんかは覚えないといけないですが、営業行為そのものは必ず型さえ決まってしまえば流用はできます。
技術者も類似ジャンルならある程度対応できますが、専門性をつきすめすぎるとピーク時こそその専門性の価値が他職種より高いので高給である合理性がある一方で、リセッション時には技術力の価値が暴落することもある職種です。
車のEV化の流れで内燃機関を作る能力の価値は下がり、EVを作れる技術力の価値が上がることもあるでしょう。
技術者の生存戦略の2パターン
こういったリスクを減らすために技術者はどういう生存戦略を取るといいでしょうか?
主に
- 技術の専門性を生涯の中で何度かスイッチし専門性の高さで勝負するパターン
- 技術の専門性を軸に技術以外の能力を増やし活躍の場を増やしていくパターン
の2つがあると思っています。
技術の専門性を生涯の中で何度かスイッチし専門性の高さで勝負するパターン
技術の専門性を生涯の中で何度かスイッチし専門性の高さで勝負するパターンは特定技術を使った売れる商品が生涯に渡って需要が出てくることに賭けるパターンです。
ITだとWebサービス => SNS => スマホゲーム => IoT => VR => SaaS => 機械学習などトレンドとなる商品群やワードは数年ごとに変わっていますね。
今の所仕事がなくなるほどのトレンドワードの断絶は起きていないですが、例えばLINE Clovaの終了やAmazon Alexaの赤字報道などVoice Assistant端末は割合不採算の事業だったとは言えると思います。
今後もバズワードが出てくれば、学び直しによって最速でキャッチアップすればその瞬間そのジャンルに一番詳しい人になれ食い繋げていくわけですが、特定技術を使った売れる商品が出てこなくなった際に市場価値が下がるリスクはあります。
家電だとそういったトレンドの消失によって、マイナスイオンだったり似非科学ぽいアピールポイントを作らないと新規性を生み出せなくなった時期はありましたし、LLMの学習なんかでもみられるように計算資源があるかが大事で資本集約的になると企業視点だと必要なのは設備投資であり技術者に高給を払う合理性が低くなってくる可能性はあるわけです。
技術の専門性を軸に技術以外の能力を増やし活躍の場を増やしていくパターン
もう一つは技術の専門性を軸に技術以外の能力を増やし活躍の場を増やしていくパターンです。
基本的に1企業の事業を運営するための人材は売り上げが変わらないなら少ない方が有利です。現代的な会社は株式会社であることが多いので投資効率が良い方が投資されやすいですね。コミュニケーションパスが増えると認識齟齬が生まれるという観点もあって、事業を営む上で必要なスキルの全ジャンルできるスーパーマンの採用獲得性が十分に高いビジネスがあるなら極力マルチスキルな人で構成したほうがいいでしょう。
現実的にはどの会社でも営業、経理、エンジニアと職種を分けているわけですが、例えば技術営業やエンジニア出身のマネージャーは単なる営業やマネージャーより付加価値があるので評価されやすいです。該当技術がまだぽっと出の時はそれを詳しく知るノウハウが確立されていないので覚えたこと自体がバリューになります。
一方で例えば技術Aの技術者から技術Aもわかるマネージャーになった後にトレンドが技術Bに移ってしまうと技術Aがわかるマネージャーも技術Aがわからないマネージャーも一緒くたに技術Bがわからないマネージャーなので付加価値がなくなります。技術Aがわかるマネージャーをやりながら技術Bを習得するか、技術Aがわかるマネージャーofマネージャーで付加価値を出すかでしょうか。
プレーヤーとマネージャーのラップ範囲は年々増える
こういった2つのパターンは企業ではキャリアパスがうちではプレーヤーとマネージャーの2つがあるよと表現されることが多いです。
一定程度のレベルになったら途中からプレーヤーかマネージャーか選べるので管理職にもならずに専門性を極める生き方もありますよ、技術のキャッチアップをいつまでもせずとも管理職になる道もありますよと説明されることが多いです。
僕私はもう管理業務しなくていいんだ、技術のキャッチアップからは解放されたのだと思うでしょう。ここには一定程度のフェイクがあり、意外と市場ベンチマークを取るとプレーヤーとマネージャーのラップ範囲は年々増える傾向にあるように感じます。
新興技術を使っている企業ほど30歳くらいでどちらのトラックにのるか選べ成熟企業ほど選択のタイミングが遅くなり40歳くらいとなります。
技術のキャッチアップは年々楽になるので最終的には1スキル特化人材はつらくなる
おそらく新しくでた技術を商売にしている企業ほどその技術を使える人が少なくそれが売りにできればマージンが多いのだと思います。新興技術ほど該当技術を知っている人を採用するのは大変なので技術に強い若者+技術を知らないマネージャーパターンが初期のIT産業にはより多くみられたと思います。
一方でとある産業が成熟してくるとキャリア選択のタイミングは遅くなります。1マネージャーに対して5~9人部下がtwo pizzaルールでの最適点ですが、それを守るとマネージャーに上げるタイミングは遅くしないと椅子が足りなくなったりするわけです。
該当技術が普及するにつれてブログ記事や書籍、動画なんかも増えて上の下くらいまでの該当技術をキャッチアップすることがより簡単になるわけで、そのスキル1つだけの技術力で売っている人は1スキル特化人材はつらくなる可能性があるわけです。もちろん該当スキルの上の下から上の上になる方法は一般に公開されていない場合もあり、その上位の専門性が十分に需要があるならそこにベットし続けるのも一つの選択でしょう。上の上のスキルが評価され続けることにかける。
逆にキャリア選択するタイミングが遅くなってくるので、マネージャーのうち技術がわかっている人の割合は増えてくるので技術のわからないマネージャーはマネージャーofマネージャーになれないと周囲に対して見劣りするというか市場平均に負けることはあるかもしれないですね。
多くの企業でリストラが起きるのはラップ範囲の増加分を説明していないから
個人的にはこのラップ範囲の増加分を説明できないのが多くの企業でリストラが起きる、早期退職を急にやり従業員から不満が出るポイントだと思っています。
市場の人材とベンチマークをとった結果あなたの給料と同じ人材は1割程度安く採用することができるように3年後変わるようです。市場平均と合わせるために3年後の評価制度のスキル項目を増やしますも一つの誠意なのかなと。3年猶予を与えるので技術トラックの方は得意技術をもう一つ増やすか、上の上まであげてください、管理者トラックの方は他の技術者出身の管理者と同じくらい技術がわかるようにするか部長級のマネジメント能力を身につけてくださいとアップデートしていくのがサステナブルなのかなと。
キャリアの選択はでた目から最良の選択をしていく作業
キャリアを選ぶという言葉がありますが、キャリアを選べるということは稀です。
大企業だと全体最適化の観点で自分の希望が通らないこともありますし、逆にベンチャーならフルスタックエンジニアになりすぎて専門性が伸びないこともあると思います。
キャリアの選択はでた目、出す目から最良の選択をしていく作業でしかなく、会社の用意したキャリアパスと市場での評価に乖離を感じたら乖離分を埋めていけるとレイオフに強くどこでもやっていける人材になり人生のコントロール性が上がると思います。