ロシア製のライブラリーをまとめてみる
前口上
2022/02、ロシアとウクライナの関係悪化による軍事侵攻がおきています。日本を含め世界の国々がロシアに対して経済制裁をするようでその影響は大きいです。
Web業界で使われるソフトウェアライブラリーは米国製のことが比較的多いですが、競プロの上位陣にロシア人がいることからもわかるように、高い技術力に裏打ちされたロシア製ライブラリーが広く使われることもあります。
後学のためにロシアと縁のあるソフトウェア(ライブラリー)についてまとめてみたというのが本記事の趣旨です。なお、法的に制限がある以上の不買運動を特にあおる気はありません。
企業がからむもの
- Kotlin
Androidの開発や一部サーバーサイドで使われることが多い言語. 開発元のJetBrainsは本社がチェコだが創業メンバーの3人がロシア人であり、ロシアに拠点もある。公式がウクライナ侵攻を非難している
名前の由来となったKotlin島はロシアの島。
JetBrainsは他にIntelliJ IDEAやそれに派生するIDEが有名。Android StudioもIntelliJ IDEAベース。UIフレームワークのCompose MultiplatformもJetBrains製。
- OpenCV
画像認識のライブラリー。最近はDeep Learnig系の機能も積極的に取り込んでいる。元はIntel Russiaが開発に大きく貢献。
- ClickHouse
分析用カラム志向データベース。開発元のYandexはロシアの検索エンジン。
Yandexは他にも勾配ブースティングの CatBoost を開発している。
- Nginx
リバースプロキシ、ロードバランサー。サンフランシスコで立ち上げた会社ですでにアメリカ企業のF5に買収されている。
創業者がロシア人であり、モスクワにオフィスがありロシア警察の強制捜査が過去入ったことはある。
個人の集合
- Albumentations
機械学習でデータを水増しするために使われるPythonライブラリー。会社というより有志の集まりで開発
- Catalyst
PyTorchの上に作られたDeep Learningフレームワーク。メイン開発者の所属もロシア企業に見える
個人開発者
元開発がロシア人のライブラリーは他にもRedux, Core JS, Highlight.js, PostCSS, Yolo, Emmet, Sphinxなどがありますが所属が米国企業だったりする場合もあり、仮にロシア企業のソフトウェア、ライブラリーの使用を禁じる法律ができたとしても影響は軽微な印象です。開発者の国籍で全て判断するのは短絡的かと。
オープンソースソフトウェアは運営資金が足りない場合も多く、政治に興味がない一開発者が作ったソフトウェアのサポーターが余波で減りサポートが止まってしまうのはよくない事態だと個人的には思います。
所感
一般販売のソフトだとカスペルキーがロシア製の模様
awesome-made-by-russiansを参考に書きました