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機械学習とか

株式投資型クラウドファンディングの資本政策

FUNDINNOのデータを分析してみた。

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株式投資型クラウドファンディングとは

通常KickstarterやCAMPFIREのようなクラウドファンディングの"支援"は寄付や購入に近い性質を持つものであり、クリエイターから感謝されたり、商品が届くことはあっても、それ自体で経済的な収益を得ることを目的としていない。

株式投資型クラウドファンディングは対照的に"支援" = 未上場企業の株を買う ことであり、短期的には収益が出ない代わりに、仮にうまくいって上場される or 高値で売却されるとcapital gainが得られる。

FUNDINNOは公式サイトによると取引量日本No1の株式投資型クラウドファンディングであり、そのデータを見ると一定の知見を得られそうなので分析してみる。

データ集め

プロジェクト一覧ページ、詳細ページから情報が取れる。ログインすれば事業計画などもみれるようだが、企業の秘匿事項にも関わるところなので公開情報だけを使う。

スマートな方法ならスクレイピングして~となるところだが、高々45件なのでExcelに手打ちで。

調べてみてわかったが、project idには抜け番があり(17, 27, 37, 44, 47~49, 54, 56)、どうやら不成立だった案件はpublic上からはなかったことにされる模様。通常のクラウドファンディングでは不成立というstatusでページ自体は残るので、うまくいった案件を除いてしまうというスキームはフェアでない気もする。全てうまくいったかのように認知バイアスがかかるというか。

84%成約しているのも十分すごいので全てとっておいて欲しいところ。

分析結果

調達金額

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調達資金の平均が3700万円。最大がTASSで8500万円。

1000万円ごとにbinを取ってみたのが図。FUNDINNOでは2回目の調達をしている企業が4社あり、調達額はどちらかといえば増加している。

日本において株式投資型クラウドファンディングは2015年5月に創設されているが、法律上の制限として 同一の会社が資金調達を行うことができる金額は1年間に1億円未満であり、その規模の調達で満足できる会社が対象。

スタートアップ界隈との比較のためにのせておくとタイミーはシリーズAで3億円調達しているようです。

新株発行割合

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発行済株式総数と売却株式数が取れるので、売却するのは全て新規株として発行割合(ポスト)を計算。2%ごとにbinとったのが図。平均自体は9.4%だが分散大きいのであまり参考にはならない。

一回の調達のレンジがそれほど広くないので2回目調達の企業は気持ち株式数をおさえているイメージ。

バリュエーション

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発行割合が取れるのでバリュエーション(ポスト)も。種類株の詳細はわからないので普通株と同じ価値とする。

MaxがSKRの958 MJPY。ダウンラウンドはないようなので2回目調達の企業の方が評価額は上昇。

マザーズの上場要件は最低でも上場時の見込み時価総額が10億円以上。初回2~4億、二回目4~6億の上がり具合から行くとクラウドファンディングだけだとギリギリ届かないくらい。

通常のVCによる非公開株の資金調達では株主間契約が結ばれているが、クラウドファンディングはその性格上、株主が爆発的に増えるので後続の投資は毛嫌いする傾向。ここら辺をどう繋げるかが肝ですね。

一人当たりの投資額

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前述の法律上の制限により 一人が取得できる同一会社の株は年間に50万円以下。平均だと一人15.7万円取得している。一口10万~12.5万なのでほとんどの人は試しに一つ入れてみた程度だと思われる。

平均投資家数は一回のラウンドで243人。

所感

別の記事にも書いたが、50を超える投資家に募集をすると公募にあたるため、通常非公開株の資金調達は秘密裏に行われる。その結果、ベンチャー周りの情報には非対称性がある。

VCがキャピタルゲインを元により大きな後続ファンドを作る事象もよく目にする。起業家視点でいうと選択肢が増えて喜ばしいことだが、マイナスの見方をすると富めるものがより富んでいく構造とも言える。

株式投資型クラウドファンディングは一般大衆でも非公開株にアクセスできるようにしたという点でプラス。ただ、年間1億円のしばりがつらく、いけてるベンチャーは基本VCからの調達が第一手段。

また、発行株は基本普通株のようなので、投資家にとってプラスとなる条項が薄く、売却する際にはもめそうな面もある。

ここら辺の制限をゆるくして、種類株式もクラウドファンディングで発行するのがメジャーになると、より富が再分配されそうでよさそうだと思いました。

免責的なにか

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